Chapter.13 犬と共に視覚障害者をサポート 盲導犬育成スタッフ

盲導犬育成スタッフ

盲導犬育成スタッフのシゴトって?

もしアナタが視力をなくしたら…?それでもきっと自分の力で外出したいと思うはず。その願いをかなえる盲導犬を育成し、犬と共に利用者をサポートする、それが盲導犬育成スタッフなのです。

現在、日本で活躍中の盲導犬は約1000頭。でも実際に「盲導犬と歩きたい」と希望している視覚障害者は全国に7800人いると言われています。北海道では400人の希望者に対して90頭ほど。まだまだ足りないのが現状です。マスコミでも盲導犬について取り上げられることが増え、訓練士への注目度は高まっていますが、盲導犬の育成にはさまざまな業務があります。候補犬の繁殖、子犬飼育など各ボランティアとのやりとり、犬の適性検査と訓練、利用者(視覚障害者)との面接、盲導犬と利用者の共同訓練、引退犬の飼育、広報活動など、これらすべてが盲導犬育成スタッフのシゴト。盲導犬は利用者にとって人生の光やパートナーともなりうる存在。その実現は、スタッフがどれだけ根気と愛情を持って盲導犬を育成できるかに懸かっています。

収入・待遇

盲導犬育成スタッフは各育成機関(財団法人あるいは社会福祉法人)の職員なので、給与はそれぞれの規定に準じます。勤務年数や能力による昇給はありますが、日本の盲導犬育成は寄付金で賄われていることをふまえると、収入よりやりがいを重視する人に向いているでしょう。

勤務時間

原則として1日8時間、休日は交代制です。協会内には訓練犬や老犬が暮らしているため、交替で宿直をしたり、候補犬の出産立ち会い、子犬飼育ボランティアへの説明会や飼育指導、啓蒙のためのイベントなど、夜間や週末の勤務もありえます。定期的に休みたい人には厳しいかもしれません。

盲導犬育成スタッフになるには

盲導犬育成スタッフになるまでの流れ

こんなにある!盲導犬育成スタッフのシゴト

Scene.1 繁殖・研究

盲導犬の資質があるかは遺伝的な要素が大きいため、優秀な繁殖犬の確保が不可欠。北海道盲導犬協会では現在、大学機関と人工授精に関わる共同研究も行っている。また、盲導犬候補生の親犬を、繁殖犬飼育ボランティア(一般家庭)のもとへ預け、出産のサポートをするのもシゴト。

Scene.2 パピーウォーキング(子犬飼育)

子犬は生後50日から1年間、愛情を受けながら社会性やしつけを身に付けるためにパピーウォーカー(ボランティア家庭)のもとへ。担当スタッフは各家庭へ飼育指導などを行う。

Scene.3 盲導犬訓練

1歳になった犬は3週間の「適性評価」を受け、合格後に訓練をスタート(北海道盲導犬協会では7カ月間)。「主人への服従」「まっすぐ歩く」「交差点で止まる」「障害物をよける」「ドアなどの目的物を探す」「不服従(命令されても危険な場合は従わない)」などを身に付ける。

Scene.4 利用者との歩行訓練

盲導犬を希望する視覚障害者と盲導犬を引き合わせ、4週間の共同訓練を実施。希望者との面接、盲導犬貸与後の生活相談など、利用者とのコミュニケーション能力も求められる。

Scene.5 その他

訓練士を指導する教官、引退犬(老犬)の飼育、盲導犬利用者が住む地域および社会への盲導犬理解呼び掛け、施設見学受け入れ、福祉イベントへの参加といった啓蒙活動、育成基金運営など、業務は多岐にわたる。

盲導犬育成スタッフ

就職&将来性

  • 盲導犬育成機関は全国に9カ所。求人が出るのは不定期のため、ホームページや求人情報誌などをまめにチェックしておこう。現役スタッフには「自分で問い合わせた」「3年越しで就職できた」「全国どの協会でも行くつもりだった」という信念と行動力の持ち主が多い。
  • 利用者から「飲食店への入店やアパートの入居を拒否された」「ハーネスをつけて誘導中の犬を触る人がいる」との声もまだ少なくない。また、盲導犬1頭の育成にかかる費用は300万円とも言われ、寄付金集めや社会への盲導犬理解呼び掛けなど、課題もまだ多い。
  • しかし、それだけにやりがいと社会的意義は大きく、一生かけて取り組めるシゴトとして盲導犬育成スタッフを目指す人は増えている。

どんな人が向いてる?

  • 盲導犬を通して視覚障害者や各ボランティア家庭などあらゆる「人」と関わるシゴト。犬はもちろん、人とのコミュニケーションに関しても努力できる人が求められる。
  • 訓練士は犬にとって“先生”。「人懐こい」「引っ込み思案」など犬の性格を見極め、マニュアルではなく個性に合わせて指導することが大切。人間の学校と同じかも。
盲導犬育成スタッフ

知っててトクする? 豆知識

盲導犬はスーパードッグではない

「目的地へ連れて行ってくれる」と思っていたら間違い。盲導犬は交差点や段差、建物の入口などの情報提供と危険回避がシゴトで、道順を認識しているのはあくまで人間。決して特殊能力を持ったスーパードッグではないのだ。

盲導犬は幸せな人(犬)生?

タテ社会で生きる習性を持つ犬にとって、良い主人と出会い、シゴトをして褒められるのは幸せなこと。盲導犬として活躍した犬は、ラブラドール・レトリバー(盲導犬の犬種)の平均寿命の12歳前後より長生きするという統計もある。

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アルキタ・オシゴト辞典