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シニアのためのお仕事・お役立ち情報 ご存知ですか?損をしない年金のもらいかた

2022年4月1日 公開

私たち国民の老後の支えとなる年金ですが、その仕組みはちょっと複雑です。大切な年金で損をしないためにはどうしたらよいか、具体的な質問を例に、社会保険労務士の遠藤起予子先生に解説してもらいました。

Q.年金は何歳からもらえるんでしょう?

私は昭和34年3月生まれです。先日63歳になり、日本年金機構から手続きの書類が届きました。年金は65歳からと思っていましたが…。同級生の妻はすでに年金をもらっているようです。(札幌市西区/63歳/男性)

A.年金の受給年齢は、生年月日、性別、厚生(共済)年金の加入期間などで変わります。

「特別支給の老齢厚生年金」という制度により65歳前に受給できる方がいます。年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、支給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるためにこの制度が設けられました。

「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るためには以下の要件を満たしている必要があります。
◎男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと
◎女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと
◎受給資格期間(10年)があること
◎厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
◎生年月日に応じた受給開始年齢に達したこと


該当される方は65歳前に受給できる可能性がありますので、お近くの年金事務所などにご相談ください。

Q.65歳前に年金をもらうのは損?

友人に「65歳前に年金をもらうのは損だから、手続きしないほうが良い」と言われました。早くもらうと減額になるのでしょうか?(札幌市清田区/63歳/女性)

A.特別支給の老齢厚生年金は65歳までにもらう年金です。

特別支給の老齢厚生年金をもらっても損することはありません。手続きをしないでいると時効(5年)で消えてしまいます。
65歳から受給できる「老齢基礎年金」を65歳前に受給する「繰り上げ受給」を行うと、将来的に受け取れる額が少なくなることがあります。

繰り上げ請求とは?
原則65歳から受給される基礎年金を早く受け取る制度。早い時期から年金がもらえる代わりに、一定の割合で減額されます。

【本来の請求】
「特別支給の老齢厚生年金」の制度に該当する方は、60歳から65歳までは「特別支給の老齢厚生年金」のみを受給し、65歳以降に国民年金(基礎年金)と厚生年金を受給します。

【繰り上げ請求(全部繰り上げ)】
本来は65歳以降に受給する国民年金(基礎年金)を前倒して、65歳になる前に受給します。早く受給できる分、支給額は請求月に応じて減額されます。「特別支給の老齢厚生年金」の制度に該当する方は、60歳から65歳までは「特別支給の老齢厚生年金」と前倒した国民年金(基礎年金)を受給します。

Q.働いたら年金は減額になる?

現在は無職で年金をもらっています。就職先が見つかりそうですが、働いたら年金は減額になりますか?(札幌市南区/67歳/男性)

A.厚生年金の被保険者であれば減額の可能性があります。

勤務先で厚生年金に加入すると、在職老齢年金の仕組みにより年金の一部または全部が停止されることがあります。停止になるかどうかは年金額、標準報酬月額(給与額)によって変わります。なお、家賃収入などは給与に該当せず、年金停止の対象になりません。

厚生年金に加入した場合(賞与なし)

▼60〜64歳までの在職老齢年金の仕組み▼
「1年間に支給される年金(特別支給の老齢厚生年金)を12カ月で割ったもの」と「標準報酬月額(※)」の合計が47万円以下であれば年金停止にはなりません。

【例】63歳のAさん
年金(1年間)は60万円(特別支給の老齢厚生年金)
月給は20万円

(60万円÷12カ月)+20万円=25万円
25万円≦47万円
⇒年金停止にならない!

▼65歳以上の在職老齢年金の仕組み▼
「1年間に支給される年金(国民年金、加給年金等を除く)を12カ月で割ったもの」と「標準報酬月額(※)」の合計が47万円以下であれば年金停止にはなりません。

【例】68歳のBさん
年金(1年間)は154万円(国民年金70万円+厚生年金84万円)
月給は30万円

(84万円÷12カ月)+30万円=37万円
37万円≦47万円
⇒年金停止にならない!

※標準報酬月額:給与や残業代を含む平均的な月収額

Q.年金受給を遅らせると、受け取る額はどのぐらい増える?

65歳の定年後もまだまだ働き、受給を遅らせて将来に備えようと思っています。受給開始を70歳や75歳からにすると、もらえる総額はいくら増えるのでしょうか?(札幌市豊平区/62歳/男性)

A.70歳で42%、75歳で84%増えます。

本来65歳から年80万円受給できる方が70歳から受給した場合、5年間(400万円)を受け取らなかった分が上乗せされ、その額は毎年113.6万円(42%増)となります。同様に75歳からの受給を選ぶと、亡くなるまで毎年147.2万円(84%増)を受け取ることが可能です。
下記の表は受給を開始年齢別で総額を表した図です。青線で示した65歳(本来)での受給と比較すると、ある年から本来の受給額を上回ることが分かります(繰り上げの場合は下回り)。65歳と75歳の需給総額を99歳で比較すると、その差額は880万円となります。

受給開始年齢別の受給総額(65歳から年間80万円の受給権がある場合)

繰り下げは、国民年金と厚生年金を同時に繰り下げることも、別々に繰り下げることも可能です。ただし、厚生年金に加給年金が加算されている方(年下の妻がいるなど)は、繰り下げによって、加給年金を受給できなくなるため、注意が必要となります。
年金受給を遅らせることで、将来の「年金以外に収入が無い」時に、本来よりも多くの年金を受け取ることが可能になります。人生100年時代と呼ばれるこれからの未来、リタイア後の夢や生活を想像し、受給開始年齢も自分の生き方、働き方に合わせて選択してみましょう。

遠藤先生からのアドバイス:年金で損をしないために大事なことは3つ!

【その1】「友人から聞いた」には気を付けましょう!
似たような境遇だと思っても、年齢や性別、働いてきた年数など、わずかな違いで当てはまる人とそうでない人がいます。

【その2】家族構成による違いを確認しましょう!
受給を開始した時点(主に65歳)で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に年金額が加算されるなど、家族構成によってもらえる金額も変わってきます。

【その3】忘れている記録がないか確認しましょう!
1カ月だけのアルバイトをした方、複数の旧姓がある方などは要チェックです。たとえ会社が無くなっても年金記録は残っています。気になったら確認してみましょう。

年金について相談するときは

年金について対面での相談をご希望の方は
地区の年金事務所または「街角の年金相談センター」をご活用ください。

◎各地区の年金事務所
◎街角の年金相談センター 麻生/札幌市北区北38条西4-1-8
◎街角の年金相談センター 札幌駅前/札幌市中央区北1条西2-1 札幌時計台ビル4階
※便利な予約相談をご活用ください
⇒予約ダイヤル0570-05-4890

おはなし

遠藤起予子社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
遠藤 起予子(えんどう きよこ)
札幌生まれ。
生命保険会社の営業を経て、2002年に社会保険労務士を取得、開業。
社内制度の整備などの企業支援、道内でセミナー講師として活動。
一児の母であり、女性の再就職・人材育成などのセミナーで活躍しています。
※この記事は2022年4月時点の法令に基づいています。法改正などにより基準額等が変更になる場合がありますのでご注意ください。

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