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バイトがあって今がある 戸次重幸さん

2023年3月20日 公開

“3つの質問”の教えが自信と会話力を育ててくれました。

コミカルな役からシリアスな役までを幅広くこなし、映画やテレビ、舞台でも活躍中の俳優・戸次重幸さん。今春の最新公演では作・演出・出演のすべてを担うことでも話題を集める。学生時代、演劇を志し稽古に励む傍らで経験したアルバイトの思い出を聞いた。

「これで1000円」。ボロボロの両手をじっと見つめた初バイト。

俳優としてはもちろんタレントや演出家としても幅広く活動する戸次重幸さん。森崎博之さん、安田顕さん、大泉洋さん、音尾琢真さんと共に、全国的人気を誇る演劇ユニット「チームナックス」のメンバーでもある。
札幌市生まれの戸次さんが、子どものころに目指していたのは建築家。演劇の道に進もうと思いが変わったのは、大学受験を目指す浪人中のことだ。テレビで一人芝居をする俳優を見て、画面の中の観客と自分が同じタイミングで笑っていることに気付いた時「自分もこんな風に人を感動させ、心を動かせる存在になりたい」と強く思ったと話す。
とは言え「まずは大学を卒業してほしい」という両親の希望に応え、戸次さんは北海学園大学工学部に進学。「4年間を一瞬も無駄にしたくない」とすぐに入部した演劇研究会での出会いが、チームナックスの結成へとつながった。
そんな戸次さんの初バイトはファストフード店。通学途中に店があったことから応募し、初日の勤務は2時間、時給は500円だったと懐かしむ。
「冷凍チキンを解凍し、さばく仕事を担当したんです。ところが慣れていないものだから、たった二時間の作業で手がボロボロに…」
人生初のアルバイトの帰り道、ボロボロになった自分の手をじっと見つめながら「これで1000円か」と大きなショックを受けた。これまで何も考えることなく母親に買ってもらってきたブルゾンの値段を思い出し、感謝と申し訳なさとで胸がいっぱいになったそうだ。
それでも慣れてくるに従ってどんどんアルバイトが楽しくなってきた、と話す戸次さん。別の学校に通う友だちができたことも、ほんの2、3歳年上の先輩が「ものすごい大人」に見えたこともすべて良い思い出になっているそうだ。

会話の極意を教わった今も師匠と仰ぐスナック店長との出会い。

演劇活動の資金を得る必要もあり、大学時代の戸次さんは「数限りないアルバイトを経験しました」。さまざまな仕事をこなすうちに「自分は人と接するのが好きだし、向いているのだ」と気付いたそう。
特に心に残っているのはススキノのスナック。かなり年上のお客さんが多く、最初のころはうまく会話ができずに悩むことも多かった。そんな戸次さんに対し、店長が掛けてくれたのはこんな言葉だった。
「お客さんにはまず何か1つ質問をしてみなさい。答えが返ってきたら、次はその答えに対して3つの質問を用意すれば良い。そうすれば一晩中でも会話が続くから」
場数を踏んで「3つの質問」のセンスを磨いていけば、誰とでも、何時間でも絶対に話せるようになるものだというのが店長のアドバイス。その言葉にしたがって会話スキルを磨いたことは戸次さんに自信を与えてくれ、ラジオのパーソナリティとしてゲストから会話を引き出す時などにも「とても大きな力になってくれた」と振り返る。
「当時、店長はまだ30代前半。それでも常連のお客さんたちがみんな店長と話したくて来店するような、とにかく魅力的でカッコ良い人でした。僕にとっては今でも〝エンタメの師匠〟と思える存在ですし、20歳そこそこだった僕に社会人として守るべき礼儀を教えてくれたのもこの人です」
この時の店長には今でも子どもの写真を送るなど、プライベートでの交流が続いているそうだ。
演劇研究会で稽古に打ち込む一方、学生時代の戸次さんはこの他にもさまざまなアルバイトをこなす。決まった曜日にまとまった時間働く必要がある飲食店などよりも「一回の勤務時間が短い家庭教師や短期・単発の工事現場のアルバイトなどが多かったかな」というのが、当時を振り返っての印象だ。チームナックスメンバーの音尾さんと一緒にさっぽろ雪まつり会場のトイレ清掃をした経験もあり「なかなか大変でしたね(笑)」。快適さを守るためには誰かが掃除をしてくれることを忘れず、奇麗に使おうと心に決めるきっかけになったと話してくれた。

常に感謝を忘れずに仕事に臨めるのもバイト経験のおかげ!

大学在学中から才能を認められ、ラジオやテレビ出演の依頼を受けるようになった戸次さん。卒業後はアルバイトをすることなく、俳優人生を歩み始めた。
「今は『1本いくら』という形で出演料をいただいていますが、これを時給に換算したら何時間、どれだけの仕事をする必要があるだろうかと考えます。そしてその度に改めて、こうして仕事をさせていただいていることをありがたいと思うんですよ」
さて、そんな戸次さんの次回公演は4年ぶりの新作『幾つの大罪〜How many sins are there?〜』。チームナックスの5人がそれぞれ表現したい世界を形にした「ソロプロジェクト」の第二弾で、東京・大阪・札幌の全国3カ所での上演となる。
作・演出・出演を手掛ける戸次さんが、本作の脚本を完成させたのは実に3年前。そこからブラッシュアップを重ねに重ね、練りに練り上げた自信作というから楽しみだ。
「前回のソロプロ『MONSTER MATES』から丸4年。長い準備期間となりましたが、ようやくこうしてまたソロプロを実現できることに無上の喜びを感じています。前回に引き続き今回も最高の豪華キャストが集まってくださいました。感謝の念を抱きつつ、最高のエンタメを作り上げる所存です。ぜひご期待ください!」

戸次重幸さんの思い出バイト

ファストフードの店員
お金の価値を教えてくれた初バイト。年は近くても「車持ちの先輩」「彼女持ちの先輩」がすごく大人に見えました。
スナックのスタッフ
お客さんと話せず皿洗いに徹していた僕に店長が「会話の極意」を伝授。役者人生の大きな財産となりました。

プロフィール

戸次重幸
1973年札幌市生まれ。北海学園大学演劇研究会出身の森崎・大泉・安田・音尾と共に、1996年にチームナックスを結成する。最近のテレビ番組出演は「監察医 朝顔」「ちむどんどん」「ファイトソング」「スタンドUPスタート(UHBで放送中)」など。映画や舞台でも幅広く活躍する。2014年には長年の夢だった一人芝居にも挑戦し、舞台と連動した同名小説「ONE」を発刊。脚本・演出も行う。

インフォメーション

●公演情報
TEAM NACS
Solo Project
5D2 -FIVE DIMENSIONS II-
幾つの大罪
〜How many sins are there?〜

死刑囚の特集を任されたゴシップ記者が「本物の殺人者による殺害方法のブレインストーミング」をテーマに取材に挑む。取材を受けた死刑囚は一人、また一人と謎の死を遂げて、舞台はやがて予測不能の結末へ!

札幌公演
5/5(金・祝)〜5/7(日)
カナモトホール
札幌市中央区北1条西1丁目
■チケット/全席指定 8,500円(税込)
https://www.teamnacs.com/stage.php?

バイトがあって今がある

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