アルキタは札幌市内・近郊のアルバイト・バイト・パート情報や正社員・契約社員の求人情報を配信中

バイトがあって今がある さとうもかさん

2025年2月24日 公開

生活の大切さと思いがけない出会いをバイトが運んでくれたよ。

2020年にリリースした「melt bitter」はSNSでの総再生数20億回以上のロングヒットを記録。ファニーでガーリー、ちょっと変わった世界観で人気のシンガーソングライター、さとうもかさんにバイトが与えてくれた価値について話を伺った。

コンビニのレジ係で人間観察と妄想力を培う?

右手にはコーラの缶、飾らないファッションで取材会場に現れたさとうもかさん。楽曲のイメージ通りの自然体の雰囲気で、屈託のない笑顔を振りまく姿が印象的だ。
出身は岡山県の海沿いのまち。3歳のころからピアノを習い音楽に親しんでいたことから、漠然とミュージシャンに対するあこがれを持つようになったと振り返る。
「ずーっとあこがれの存在だったのはYUIさんです。小学5年生の時、劇場で観た映画の予告編で『Tomorrow's way』という曲を聴いて『こんなにも奇麗な声の人がいるんだ!』って感動した記憶があります。中学生になってからは昔のジャズやシャンソンにハマって、色んなジャンルの曲を聴くようになりました」
ギターを片手に自らの楽曲を作るようになったのは高校1年生のころ。時を同じくして、初めてのアルバイトに挑戦した。
「仲の良い友人とアルバイトがしたいと思って、コンビニに2人で突撃したんです。店長っぽい男の人に『働かせてください』と頭を下げたら『掃除係なら良いよ』って、その場で合格してビックリ(笑)。でもいつかは〝花形〟のレジ係になりたいって思って、それからゆるゆると努力してレジ係を目指しました」
さとうさんの〝ゆるゆるとした努力〟は地道に実を結び、数カ月であこがれのレジ係へとステップアップ。「接客をしながら〝妄想〟したことも、作詞の上で役に立っているかも」と笑う。
「レジの瞬間って、みんな無意識じゃないですか。そこに、ふと人のパーソナルな部分が見えるっていうか…。例えばムスッとした人だったら、今日どんなことがあったんだろうと考えたり、いつも2人分のご飯やお菓子を買う女の子には、どんな彼がいるのかなとか、同棲しているのかなあとか。お客さんを観察しながら、延々と妄想を繰り広げていました(笑)」

音楽的ルーツもバイト経験が糧に

高校を卒業したさとうさんは地元・岡山にある音楽系の短大へと進学。精力的に音楽活動をスタートし、一人で歌うだけでなく、バンドやユニットを組んでYUKIやチャットモンチーといった女性アーティストの楽曲をカバーしていったそうだ。
短大卒業後は複数のアルバイトを掛け持ちしていく。中でも印象深いと語るのが、海外の食品やワイン、コーヒーなどを扱う輸入食品店。音楽を作る上で最も大切にしている「生活」の価値観を得られたのも、この店で働いた影響だと振り返る。
「短大に入るまでは実家暮らしだったので、あんまり料理をしてこなかったんですけど、お店で海外の変わった食べ物に囲まれているうちに興味がわいて、自分で料理をするようになりました。コーヒーや可愛いお菓子が大好きになったのもお店の影響ですね。いち生活者としての目線を得られたのは、一人暮らしと店で働いた経験があったからだと思います」
意外なことに音楽面での影響も大きかったそうだ。
「それまでジャズやシャンソンなどレトロな曲が好きだったので、流行の曲はどちらかと言えば苦手。でもお店で毎日『世界のトップチャート』みたいなプレイリストが流れていたので、自然と好きになっていったんです。特に印象に残っているのが、ブルーノ・マーズの『Treasure』やジャスティン・ビーバーの『SORRY』。毎日ちょうど『もうちょっとで帰れるな』ってタイミングで流れるし、アップテンポなのも相まって、どこか心躍る気分になれたんですよね。音楽も人も、予想だにしなかった出会いをくれるのも、アルバイトならではの価値だと思います」

夢を追うために、前向きに生活を楽しむ

短大卒業後は4年間を地元・岡山で活動し、26歳でメジャーデビューと共に上京したさとうさん。昨年11月にリリースされたアルバム「ERA」は、30歳を迎えた彼女が20代の10年間を振り返り作った集大成だ。オープニング・トラックは「電気、ガス、年金に家賃にケータイ」というユニークな歌い出しから始まる楽曲「生活は大変」。
「音楽だけで食べていけるようになるまでは、本当に本当に大変で…。ライブのために遠征に行っても、お金がなくてネットカフェしか泊まれなかったり、バイトで体力を使い果たしちゃったりとか。そんなころに作った曲もギュッと詰め込んでいます」
4曲目に収録されている「チェーン・オブ・ユース」は、まるでタイムカプセルのような楽曲。
「もともとは短大を出たころに書いた曲です。周りの友達が就職して『みんな変わっちゃったな』って寂しい気分の中で作って、途中で歌詞を書き進められなくなって放置していたんです。でも去年改めて聞き返すと『こんなこと考えていたんだ』とハッとして。途中からまた歌詞を書き出して、ポジティブな楽曲になりました。なので20代の私と、30歳になった今の私の両方が歌詞を書いています」
生活に苦労した時期も、心の持ちようが変化した時期もあった。それでも小さなころからの夢を追い続けたさとうさん。ブレずに夢に向かった原動力を聞くと、それまでの穏やかな表情とは打って変わって、こう答えてくれた。
「続けること、だと思います。私にとっての曲作りやライブは『生活』の延長線上にある存在。曲ができなくて悩んだり、忙しくてしんどい時もあります。そんな時は少し休んでも、前向きに『生活』をし続けていたら、おのずと再び歌いたくなるものです。こうした気付きを与えてくれたのも、10代・20代のバイトと音楽の日々を送ったお陰だと思うんです」

さとうもかさんの思い出バイト

輸入食品店のレジ係
海外のいろんな色や形のグミを見るのが大好きでした〜。アクセサリー作家を目指して活動している子と仲良くなって、一緒にイベントを開催したこともあります。
小さな洋食店のホール係
個人経営の小さなレストランでした。時々、“まかない”として出してくれた「豚汁うどん」がおいしかったなあ。今でも帰省した時に時々立ち寄るお店です!

プロフィール

さとうもか
岡山県出身のアーティスト、シンガーソングライター。学生時代から精力的に活動し、2018年に1stフルアルバム「Lukewarm」をリリースし、2021年にシングル「Love Buds」でメジャーデビュー。代表曲「melt bitter」のロングヒット以降、NewJeansへの作詞提供や、他アーティストへの楽曲提供を手掛けるなど、幅広く活動中。良質なポップセンスと女性の心を歌ったキュートな世界観で、さまざまなクリエイターやアーティストから支持を得ている。
Instagram:https://www.instagram.com/_satomoka_

インフォメーション

●最新リリース情報
5th ALBUM
「ERA」

3年ぶりとなる5thアルバム。タイトルのERAは“時代”を意味し、今年30才になったさとうもか自身が、今感じている葛藤や心境の変化を詰め込んだ作品となっている。アーティスト写真やアルバムジャケット写真はそれぞれ写真家の川島小鳥が担当している。

バイトがあって今がある

最新記事5件

さとうもかさん 2025年2月24日 公開

生活の大切さと思いがけない出会いをバイトが運んでくれたよ。

Nothing's Carved In Stone 村松拓さん 2024年8月12日 公開

経験から芽生える感情は、 人生を豊かに彩ってくれる。 だから、行動したほうがいい。

タイトル未定 2024年7月29日 公開

経験の積み重ねのすべてが、夢の実現につながっているよ。

キュウ 2024年7月22日 公開

「好き」をあきらめないために嫌いな経験も積んでおこう!

I Don't Like Mondays. 2024年6月24日 公開

バイトが音楽と自分たちをつなげてくれた。