ひとりじゃ叶えられないことも江別では誰かと一緒に「やってみる」ができる【EBETSUto】

江別をフィールドに大学生のやってみたいを実現していくプロジェクトEBETSUtoのコーディネーターとして活躍する深井咲良（ふかいさくら）さんにお話しを伺いました。高校卒業まで遠軽町で過ごした咲良さんは「地元でカフェをやりたい」と考えるようになりますが、ご両親に「自営業をするにしても手に職をつけたほうがいい」と管理栄養士の資格を取ることを勧められます。管理栄養士養成課程を学べる大学を探しオープンキャンパスに足を運び、自然に囲まれ伸び伸びとした雰囲気に引かれ酪農学園大学に進学することを決めました。管理栄養士は病院などの医療現場や学校、企業などの給食施設への就職を目指す人が多く、咲良さんは自分のやりたかったこととの違和感を感じてしまいます。大学4年生の時に適当にテーマを選んだ卒業論文に自分でもしっくりこないまま提出しようとすると、ゼミの先生に「本当にやりたいことをやったほうがいい」と言われ、その言葉が咲良さんの胸に熱く響いたのだそうです。

「料理も好きだけど、家や学校、職場とは違う居場所となるようなコミュニティーをつくりたい」と強く感じた咲良さん。ちょうどその頃community HUB 江別港で、すべての若者が未来に希望を持てる社会を実現するための「みなと計画」が立ち上がります。そこで咲良さんはインターンとしてかかわり、大学卒業後は得意のグラフィックレコーディングや対話の力を生かしてEBETSUtoのコーディネーターとして働き始めました。現在、EBETSUtoに参加する学生は20名程。咲良さんの主な仕事は学生メンバーのサポートです。学生達は江別蔦屋書店でオリジナルの演劇を披露し、EBETSUtoのLINEスタンプも作成しました。化粧品、EBETSUtoのテーマソング、江別お勧めマップを作るプロジェクトも進行中です。ボードゲームを通して知らない人と交流するイベントなど、自分では思いつかない大学生の「やってみたい」に学ぶことが多いのだと言います。活動は学生達だけで行うよりも、まちの人達や企業とかかわりながら実現させていきます。不登校を経験した大学生が不登校の子どもと一緒に何かできないか？と江別で活動する登校渋りや不登校のお子様の保護者を支える市民団体と企画を立てていたり、求人票を見ながら就活のことや江別の企業を知ることができるイベントをジョブキタ就活と一緒に開催しました。

コロナによって出会いや学生生活を奪われた世代でもあるためか、同じ思いをもっている人とつながりたいと話し相手を求める学生が多いのだそう。「まずは、麺こいやでラーメンでも食べながらお話ししましょう」とニッコリ。自分が学生の時には、格好いいことをやっている人に出会いたくて、札幌のオシャレな場所へ緊張しながら行ってみたという咲良さん。今の江別には悩んだり迷いながらも学びを実践できるEBETSUtoがあり、思い描いていたコミュニティーができつつあると感じています。

文・取材：三ツ井瑞江／写真：岩崎晃和