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バイトがあって今がある ギタリスト・シンガーソングライター 横山 健さん

2016年2月1日 公開

何でオレがこんなことやらなきゃいけないんだ!?
って思う時間も人生には必要なんだよ。

左:松浦英治さん(Dr.)、右:横山健さん(Vo./G.)
「Hi-STANDARD」のメンバーとして活躍し、また自ら立ち上げたレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」の代表取締役としても活躍する横山健さん。取材にはKen Bandメンバー・松浦英治さんが飛び入りで参加してくれた。

複雑な感動があった
初バイト代での買い物

東京都出身ながらも札幌を「来慣れた街」と呼び、親しむ横山さん。インタビューの冒頭から「2011年に松浦がKen Bandに加入して、ライブで一緒に札幌に来たわけ。で、俺のお気に入りのラーメン屋に連れてったら、こいつダメ出しするのよ(笑)。それでケンカになって。でも、そのケンカがきっかけで腹割って話せるようになって、気心の知れた相棒になれました」と、気さくに笑って場を和ませてくれた。
横山さんの最初のアルバイトは高校時代、ファミリーレストランの洗い場で。当時から音楽が好きで「アルバイトをすれば好きなレコードをたんまり買えるかな」と考えたことから友人に誘われ、始めたそうだ。「今から30年も前だから、そうだなぁ、確か時給550円くらい。1時間ってこんなに長いのかって、何度も時計を見てばかりいたよ」と振り返る。「立ちっぱなしがつらかったというのもあるけど、マネージャーの叱り方がとにかくイヤで…。スプーンやフォークの洗い方が悪いと『これで食えと言われたら、君は食えるのか』って聞いてくるの。僕は食べられるんですよ、余裕で(笑)。でも、彼が言っているのは『洗い直せ』っていう意味で、こういう言い方を通じて『世の中というのはそういうものだ』と教えてくれてるんだろうなって考えて。素直に『食べられません』って返事して、洗い直してました。つらくて、二度とバイトなんてするもんかって思ったけれど、今から考えれば貴重な体験だったし、やって良かったなって思う」。もらったバイト代で欲しかったレコードを買った時、込み上げてきたのは何とも言えない思い。単純な喜びではなく、腹の中にズシリと来る重みのある感情だったそうだ。

どのバイトもすべては
「音楽」という夢のため!

一方、松浦さんの最初のアルバイトは、高校時代、倉庫での荷物運び。既にドラムを始めており、体を鍛えたい気持ちから力仕事を選んだ。「一つひとつの段ボールは重いし、上の人も厳しくてよく怒鳴られたけれど、つらければつらい分、自分が鍛えられるような感覚があって頑張れました」。初めてのバイト代では、スネアドラムとバスドラムを叩くペダルを購入したそうで「バスドラムはまだ買えてなかったんだけど、うれしくてうれしくて、エアでペダルをパタパタ踏んで楽しんでました」と、照れ笑いしながら話してくれた。
その後も2人はさまざまなアルバイトを経験し、「引越屋、うどん屋、工事現場、ガードマン、カーペット張り。実家暮らしだったけど、せめて音楽関係のものは自分の金で買いたいって思ったから頑張った。最後のアルバイトはピザの配達だったな。バンドが軌道に乗り始めていた時期で、ライブやツアーもしててね。店長が良い人で、音楽活動がしやすいよう、時間に融通を利かせてくれたんだよね」と横山さんは話す。それを聞いた松浦さんは「音楽への夢を理解してもらえるのって、デカいですよね」とうなずいた。

会社は「人生道場」という
経営者としての思いも

「バイトを通じて得たもの」について聞くと、横山さんから返って来たのは即答の「ないね(笑)」。だがしばらく楽しそうに笑った後、横山さんは真顔でこう続けた。
「若いころの僕にとって、バイトというのは金のためにするもので、そこから何かを得よう、学ぼうと考えてしたものではなかったな。『俺、バイトだし』という甘えが心のどこかにあって、そのために得られなかったものはあったと思う。『PIZZA OF DEATH RECORDS』を立ち上げて自分が経営者になってからは、バイトの子たちには『うちの会社は人生道場だから』ってよく言うんです。色んな面白い考え方・生き方の人間がそろってるから、彼らを見ながらこの先どう生きていくかを考えてほしいって」
その言葉を聞いた松浦さんは、何度もうなずいた後、「僕はどのアルバイトも肉体労働だったんです。体を鍛えたいというのもあったし、時間の融通が利きやすくて。特に印象に残っているのは木材配送かな。大工さん相手の仕事なんですが、一人親方でやってる人が多かったんですよ。一匹狼で生活を背負う職人気質で。そういう人が言う言葉って、一言一言に重みがあるんですよね。特にあの名言が、って覚えているわけではないんだけど…。そうだ、『あいさつは大きな声で!基本だから』って言われましたね。ケンさん(横山さん)には『お前出来てないぞ!』ってまだ叱られるけど(笑)」と、若き日々の思い出を噛み締めるように語ってくれた。
そんな松浦さんが「バイトって、なんでこんなことしなきゃいけないんだって思っても、真面目にやってるとそこから見えてくるものがありますよね?」と横山さんに問いかけた。「だな!」と横山さんはこう答えてインタビューを締めくくった。
「なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだとか、こんなことして何になるんだって思うことってあると思う。でも、そういう時期も時間も人生には絶対必要なんだよね。理不尽に怒られることも含めて。人生経験にするぞってつもりで乗り切ってほしい、きっと後々生きてくることがあるはずだから!」

★横山健さん・松浦英治さんの思い出バイト★

ファミレスの洗い場/横山さん
「ハニー・ドリッパーズ」のレコードが欲しくてスタート。「あと○時間頑張ればハニー・ドリッパーズ!」と呟きながら頑張りました。
カーペット張り/横山さん
段ボールに詰めたカーペットを運び床に張る仕事。重過ぎてオシリの血管が切れ、肛門科のお世話に…。「何ごとも音楽のため!」と体を張ってました。
鳶職/松浦さん
高い所が大好きで高さ30mくらいの足場も平気!毎日ハンマー仕事をしていたら、バンドでも「最近リズム感が良くなった」と褒められました。
荷物運搬/松浦さん
洋服が詰まった段ボールを倉庫内で運搬。服って1枚1枚は軽いけどぎっしり詰めると本当に重い。ドラムを叩くための筋トレには最適っす(笑)。

<プロフィール>
Ken Yokoyama

横山健(Vo./G.)が率いるソロプロジェクト。メンバーは横山とKenBand(Hidenori Minami〈G.〉、Jun Gray〈B.〉、松浦英治〈Dr.〉)の4人からなる。横山は1969年東京出身、1991年Hi-STANDARD結成、1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立し社長を務める。Ken Band結成は2004年。松浦の加入は2011年で、ドラマーとしてバンドを支える。

<インフォメーション>

●リリース情報
Ken Yokoyama 6thアルバム「Sentimental Trash」
PZCA-73 2,190円(税抜)

日本におけるメロディック・パンクの創始者であり、今もシーンの頂点に君臨するKen Yokoyama約3年ぶりのフルアルバム。見事なまでにロックンロールが体現でき、心と体が揺さぶられるような冒険とワクワク感に満ちた1枚。

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バイト先の人たちがMVに出演してくれたほど、良い出会いばかりだった。