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バイトがあって今がある クボタカイさん

2023年7月24日 公開

仕事と向き合う情熱に早くから触れられるのがバイトの魅力。

文学的なリリックを紡ぐラッパーであり、美しいメロディを歌い上げるシンガーソングライターでもあるクボタカイさん。若い世代の注目を集める気鋭のアーティストが、アルバイト経験や音楽のルーツを語ってくれた。

ズシリと重かった初バイトの給料!

クボタさんは宮崎県の出身。音楽は「人並み」に好きで、楽曲制作や楽器に特化した学びを受けて育ったわけではないと切り出す。ギターを持ったのは高校生のころ。友人と文化祭のステージに立つことになったというがー。
「友人は全員楽器を持っていましたが、僕だけ何もなかったんですね。で、コレじゃあ格好がつかないということでギターを買ったんですが、当然ながら短期間で弾けるようにはならず、本番ではボリュームを絞りまくってほぼエアギター状態でした(笑)」
クボタさんが高校生の当時、折しも「高校生ラップ選手権」や「フリースタイルダンジョン」が流行し、若い世代を中心にフリースタイルラップの人気に火が付いていた。もともと日本語や言葉の響きに興味があったこともあり、クボタさんは就寝前の入浴タイムに一人ラップを口ずさむようになったという。
「当然ながら相手がいるわけではないので、風呂場で自分対自分のバトルを繰り広げていました。例えば、コンプレックスや社会に対して思うことについて、一人の自分がラップでディスり、もう一人の自分がアンサーするというように」
以来、フリースタイルラップの仲間が少しずつ増え、サイファー(公園や広場などでラッパーが集まり、フリースタイルラップをし合うこと)にも参加するようになった。その後、高校卒業から福岡県の進学先に入学するまでの間、クボタさんは短期間のバイトを経験したそう。
「人生初のバイトはパンケーキカフェのホールスタッフ。僕が客として足を運ぶといつも店員同士の雰囲気が良くて、働いてみたいと思っていたんです。ただ、友人が来店した時に、『カイって笑顔が下手だよね』と言われ…(苦笑)。どうやら笑顔がぎこちなかったみたいで、トレーニングの末、自然に笑えるようになりました」
バイト代は封筒で現金手渡しだったとか。18歳のクボタさんにとって数万円の給料はズシリと重く、「これだけ稼ぐのも大変なんだと身を持って知りました」と感慨深そうに振り返る。

かつおだし→卵焼き→ママの味という韻の応酬!?

クボタさんは福岡の進学先で勉強に打ち込みながら、フリースタイルの活動を本格化。サイファーのラッパー仲間も増え、周囲が楽曲制作を始めた影響もあったことから、自身もチャレンジするようになった。
「当時、ラッパー仲間の二人が先に居酒屋でバイトを始め、僕も紹介を受けて働くことにしました。キッチン担当だったので、料理を作ることも楽しかったですね。あと、オーダーが入った時に、例えば一人が『かつおだしで作った卵焼き』と韻を踏むと、すかさず僕も『卵焼きはママの味』というように別の韻を踏んで返していました。僕が働き始めてから、続々とラッパーのバイトスタッフが増えていったので、こうした『遊び』から刺激を受けることも多かったです」
バイト先の居酒屋ではBGMに『サザンオールスターズ』の楽曲が流れることも多かったとか。当時、曲作りを試行錯誤していたクボタさんは「サザンオールスターズのメロディに感銘を受け、当時の楽曲はかなり影響を受けていたかもしれませんね」と笑う。
「ある時、失恋したことによって衝動のままに曲を書いたんです。僕は人に相談したり、本心をぶつけたりするのが苦手なタイプ。なので、胸の内に渦巻く感情のはけ口が楽曲となったみたいで、一気に書き上げることができました」
それが在学中にリリースした「Nakasu night.」。以来、学校で勉強に精を出しては帰宅後に曲を作り、時にバイトで一生懸命働くというハードな日々が続いた。卒業前にはファーストEPのリリースと初めてのツアー、更にプライベートでは自動車学校に通い始めるなど、忙しさがピークに達したという。「当時はいろんな出来事がバーッと重なって、楽しかったですけど、体重が7〜8kgは落ちてしまいましたね(笑)」

鼻歌から楽曲の原型が作られたバイトの帰り道

クボタさんにバイトで苦しかった経験を尋ねると、しばらく悩んだ末に「一つは笑顔を作ること」と冗談交じりに答え、こう続けた。
「僕は勉強も、曲作りも、スポーツも好きですし、どれも割と得意なほうなんです。なので、バイトを始める前は『アレ?俺って要領の良い人間かも』と調子に乗っていたんですが、料理のメニューを覚えるのも段取り良く準備するのも不思議なくらい苦戦して…。自分は本当に好きな分野以外の覚えが悪いんだと知らしめられた気がします。ただ、その分だけ人一倍メモを取るなど努力はしていましたが」
一方で、音楽にプラスとなった経験も少なくないとか。リリックは自身の経験したことだけで書くと偏ったり、視野が狭くなったりするため、居酒屋に来店したお客様の会話を耳に挟むことで歌詞を書くための血肉になったと笑う。
「バイトの帰り道に一人で自転車を漕ぐ時間も好きでした。深夜の人っ子一人いない道で歌を口ずさんでみたり、鼻歌から曲の原型になるメロディが浮かんだりもして。それに、居酒屋の店長が目をキラキラさせて働いていた姿は今でも思い起こせるほど印象的。仕事に夢を持って向き合う人のヒリヒリするような情熱に、早いうちから触れられるのって良いことだと思います」
そう語るクボタさんの目も、心から楽しんで音楽という仕事に取り組んでいるのが手に取るように分かるほど輝いている。最後に新曲のポイントを教えてもらった。
「主に恋愛に多いと思いますが、人は幸せが続くとこのまま幸せで良いのかなと不安になることもしばしば。そんな幸せを信じる怖さをポジティブに昇華させ、聴く人を後押しする一曲に仕上げました。ぜひ、聴いてみてください」

クボタカイさんの思い出バイト

パンケーキカフェ
ホールスタッフとして働いた初めてのバイト。親との共通の趣味が釣りなので、給料で釣り具を買いました。
居酒屋
当時、バイトスタッフの大半がラッパーという特殊な居酒屋(笑)。今でも連絡を取り合う仲間もいます。

プロフィール

クボタカイ
宮崎県出身。1999年生まれ。Hip-Hop、R&B、RockからPops まで幅広い音楽と文学の香りを感じさせる歌詞、そして切なくはかない歌声で注目を集める。2019年12月デビューEP「明星」をリリース。2021年4月に初のフルアルバム「来光」を発売。2022年7月デジタルシングル「ピアス」リリース時には、TikTokとSpotifyが共同でアーティストを応援するプログラム「Buzz Tracker」のMonthly Artistに選ばれ注目を集める。また同世代アーティストとのコラボレーションや提供楽曲が次々とスマッシュヒット。
オフィシャルサイト:
https://www.kubotakai.com/

インフォメーション

●最新リリース情報
New Digital Single
「蝶つがい」

サビの歌詞が印象的な、二人の関係性の愛しさを表現したラブソング。ABEMAオリジナル恋愛番組『恋する 週末ホームステイ 2023春〜Sweet Orange Memory〜』第4話挿入歌。

バイトがあって今がある

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