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2017年3月6日 公開

シンガーソングライター 磯貝 サイモンさん

夢を追いかける人のすぐそばには、
いつもバイトがあった。

シンガーソングライター 磯貝 サイモンさん
取材協力/OYOYO まち×アートセンター さっぽろ(札幌市中央区南1条西6丁目 第2三谷ビル 6F)
シンガーソングライターとして歌声を届ける傍ら、抜群の音楽センスで楽曲提供やプロデュースなども手がける磯貝サイモンさん。アルバイト先ではさまざまな人生模様が垣間見えたという。

録音機材を買うために、初バイトに挑戦!

「磯貝サイモン」と聞くと芸名に思えるが、実はれっきとした本名。一風変わったこの名前は、父が「サイモン&ガーファンクル」の熱烈なファンだったことから名付けられたそう。
磯貝さんは6歳のころまで釧路に住み、今も母方の祖母に会いに毎年北海道を訪れている。「名前がサイモンだから音楽をやっておいたほうがいいだろうって、4歳から音楽教室に通わされました(笑)。釧路の教室は今もあるのかなぁ」
釧路で過ごした幼少期を懐かしそうに思い返す磯貝さん。音楽教室の習い事は、引っ越し先の神奈川県でも小学校4年生まで続けた。その後もピアノは趣味程度に弾いていたが、中学生になると一転、ハードロックに目覚めてエレキギターをかき鳴らす少年に。シンガーソングライターとして活躍する姿からは信じられないが、歌うことにはあまり興味を抱かなかったそうだ。
「高校生のころに友人から『ゆず』を弾き語りしようと誘われ、初めてボーカルに挑戦しました。振り返ってみると、声量もなくて人に聞かせるレベルではなかったかも(笑)。文化祭に出るためにバンドを組んだこともあって、ドラムやベースを練習した経験が、いろんな楽器を演奏出来る今の自分を作り上げてくれました」
高校時代の磯貝さんは楽曲作りも始め、出来上がった作品を家で録音する「宅録(たくろく)」に力を入れていたのだとか。その際マイクやケーブルといった録音機材が必要となったため、ハンバーガーショップで初めてのバイトにチャレンジした。
「時給は当時の最低賃金でしたが、仕事が終わった後に遊びに出かけるくらい仲良しの職場でしたし、年齢もマインドも近い人ばかり。居心地が良くて、高校を卒業するまでバイトを続けました」

バイトは青春の思い出も作るもの

高校卒業後、磯貝さんはデビューを目指して音楽活動を本格的にスタート。スタジオ代やライブの資金を稼ぐためにも、生活するためにも、バイトは欠かせなかった。
「次に選んだ職場は宅配ピザ屋さん。前に働いていたハンバーガーショップの仲間が“どうやら宅配ピザはメッチャ良いらしい”と教えてくれて、何が良いのかは分からないけれど、バイトを始めてみることにしたんです(笑)」
磯貝さんは宅配の担当として、配達エリアのあちこちへバイクを走らせた。かつてはまだスマホも登場しておらず、店舗の壁一面に貼ってある地図を見て、場所を覚えてから出発する時代。途中で道を間違えて迷ってしまったことも一度や二度ではなかったそうだ。
「お得意さんのお宅はさすがに覚えましたが、中には個性がキョーレツな人も。例えば、水質を研究しているという常連さんがいて、お店のミネラルウォーターを気に入ってくれたんです。ただ、一度に5ケース以上の注文が入る上、話し込むと長いタイプで…。だから、その人の注文には、比較的対応の上手だった自分と店長が二人で宅配し、30分以内に終わらせるのがミッションでした(笑)」
さらに、磯貝さんはコンビニの深夜帯のバイトを掛け持ち。朝11時から宅配ピザのバイトに出かけ、夕方からスタジオで練習、夜の10時からまたコンビニの仕事というハードな日も過ごした。同僚とはオフの日に遊びに行くことも多く、磯貝さんにとって「バイトは学生のキャンパスライフ代わり」だった。進学を選ばず、音楽の道に進んだ彼に、青春の思い出も作ってくれたのだ。

バイト先の雰囲気を、歌詞で表現!

磯貝さんがデビューに向けて音楽活動に打ち込んでいた時期は、インターネットの黎明期。インディーズ音楽配信サイトに楽曲を登録したところ、たまたま音楽事務所の「耳」に留まり、ライブに足を運んでくれたという。
「その出会いがきっかけになり、運良くデビューが決まったんです。ただ、育成やCD発売メーカーの調整といった期間が2年くらいあったので、メジャーデビューした2006年の初頭まではバイトを続けていました」
数々のバイト経験は音楽にもダイレクトに生きていて、3rdアルバムに収録されている『たいくつな日々〜What brings you joy?〜』には職場で感じた雰囲気を歌詞として表現した。
「バイトっていろんな人生模様が見えて面白いんですよね。例えば僕が働いていたコンビニには20代の店長もいれば、30代のバイトスタッフもいたように、年齢も生きてきた背景もバラバラ。だけど、誰もが幸せを探すために日々を大切に歩んでいたような気がします。そんなイメージを表現したくて、歌詞にもバイトという言葉を使いました」
デスメタルバンドのベーシストを目指していたバイト仲間。車を買うために必死で働いていた同僚。やりたいことが分からず、もがいていた年上の先輩。磯貝さんがかつてのバイト先で出会った人たちを振り返り、最後にこう語った。
「僕にとって夢を追いかけたり、未来の道を探したりしている人のそばには、いつもバイトがあるイメージ。たとえ目標に手が届かなくても、夢に向かって努力した時間は絶対に人生経験を高めてくれるはずです。その中心にあるのがバイト。僕はそう思っています」

★磯貝サイモンさんの思い出バイト★

ハンバーガーショップ
録音機材が欲しくて始めたバイト。サークルのようにバイト仲間とワイワイ働けたので、良い思い出になりました。
宅配ピザ店
個性の強いお客さんが多かったです。毎日お昼にピザを頼む常連さんもいて、玄関脇にはピザの空箱が山積み(笑)。
コンビニ
発注業務が特に好きでした。おにぎりが予想通りに売れた時は、ガッツポーズしたいくらいうれしかったです。

<プロフィール>
磯貝サイモン

1983年生まれ。神奈川県相模原市出身(幼少時代を北海道釧路市で過ごす)。2006年メジャーデビュー。優しさと力強さを兼ね備えた二面性を持つ歌声は、特に弾き語りライブにおいて高評価。ギターやピアノ以外にも、レコーディングではドラムやベースも演奏し、時々ライブでも披露。自身の音楽活動に加え、楽曲提供やプロデュースなども行っている。
オフィシャルサイト 
http://isogaisimon.net/

<インフォメーション>

●最新リリース情報
4th Album「sponge-like」
■HTRD-021 2,800円(税抜)

メジャーデビューから10年、スポンジのように吸収してきたものを一気に吐き出した4th Album。寺岡呼人、椎名慶治、阪井一生(flumpool)との共作曲を含む全12曲収録。

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