キュウ

―ステージお疲れ様でした。野外フェスでのステージは経験がありますか？
清水（以下、敬称略）　音楽ライブと一緒ってのは初めてかもしれないですね。何よりこんな大自然の中で漫才する経験は他にないんじゃないでしょうか。
ぴろ　皆さん初めからボルテージが上がっているお陰か、「ウォー！」って感じの歓声でしたね（笑）。
―早速ですが、バイト経験について教えてください。初めてのバイトはいつごろですか？
清水　僕は大学生時代、空手に打ち込んでいたので、バイトを始めたのは卒業後。大阪のお笑い養成学校に入ってから始めたドラッグストアの店員でした。レジ打ちから初めて、上京するまで3年ぐらい続けてましたね。
ぴろ　僕は地元、愛知の大学に通ってた大学1年生のころ、姉の勧めで入ったサンドイッチの専門店が人生初バイトでした。自分では元気良く接客してたつもりなんですけど…、この通り、元々テンションが低いので「もっと元気良く！」って何度も注意されて（笑）。接客は向いてないなと感じて、1年少しで辞めて、その後は学童保育の補助スタッフをしていました。
―学童保育は意外ですね！
ぴろ　僕自身も当時「自分に一番似合わないバイトをしてみよう」と考えてやってみたんです。実は子どもがあんまり好きじゃなかったんですけど、遊んでるうちに意外と子どもが好きになっちゃって。3年ぐらい続けて、上京のために辞めるタイミングで女の子の一人から手紙をもらった思い出があります。
―それはうれしい思い出！
ぴろ　普段は気が強くて、ツンツンしてる感じの子だったんですが、感謝の言葉と共に「面白いところが好き」って書いてくれてたんです。まだ芸人になると誰にも言っていなかったころで、「自分、面白いんだな」って自信につながりました。今でもその手紙を大切に、引き出しの奥に保管しています。

―お二人とも、いつまでバイトをされていたのでしょうか？
清水　僕はつい最近まで続けていました。
ぴろ　自分は2017年ぐらいですね。漫画喫茶の店員をしていたんですけど、一緒に働いていた数人の芸人仲間が次々とクビになっちゃって、とうとう深夜帯が自分ともう1人だけになってしまったんですよ。そこまでシフトが入ってしまうと芸人と両立できないと辞めて。それからは本気で芸人をやるために、バイトをせずにどこまでやっていけるか試そうと生活していました。
―実際にその後、快進撃を展開しましたもんね。
ぴろ　バイトでの悔しい出来事や、「向いてないな」って経験や、苦しい生活があったからこそ、芸人だけで生きていこうっていう決意が固まったんだと思います。自分の将来像をしっかりと描くための手掛かりになるのが、バイトの価値ではないでしょうか。それに今振り返ると、嫌なことも経験しておいて良かったなと思えるんです。
清水　そうそう。芸人だって、どんな仕事だって、嫌なことを多少ガマンしなきゃいけない機会は絶対にあるから、耐え抜く力が付くよね。僕もできれば働きたくないと思っている性格なので、バイトも生活ができるならやっていなかったと思います。でも振り返ってみると、社会の常識や礼儀、人への気遣いをバイトで学べる大きな機会になった。
ぴろ　同じお金をもらうのでも、好きなことをやってもらえるのと、嫌いなことをやってもらえるのとでも、全然違いますよね。だからこそ、「好きなことで稼ぐ」をあきらめずにバイトをするのが大事。自分たちはやっぱり「絶対に芸人になる」という夢があったから、ここまで来られたんだと思います。
―ありがとうございました！