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2018年2月19日 公開

サウンドクリエーター 辻村 有記さん

たくさんの「未体験」と出合えるのが、
バイトのイイところ。

サウンドクリエーター 辻村 有記さん
2016年に惜しまれながらも解散してしまった、人気バンド「HaKU(ハク)」。
そのフロントマンを務めていた辻村有記さんが昨夏にソロ活動をスタートさせ、ミュージックシーンへと舞い戻ってきた。

バイト代でCDを「メチャクチャ」購入!

北海道に降り立つのは、「HaKU」時代から数えると4〜5年ぶり。辻村有記さんは、「ライブで来た回数は多くないけれど、北海道のオーディエンスは熱いというか、エネルギッシュというか、濃厚な思い出があるなぁ」とかつてを振り返る。
辻村さんは作詞や作曲、トラック作りにヴォーカルアレンジと、すべてをプロデュースする多才ぶり。彼が音楽に目覚めたきっかけを尋ねたところ、小学校高学年のころの思い出にたどり着いた。
「イトコの兄ちゃんに『B'z』の『Calling』って曲を聴かせてもらって衝撃を受けました。松本さんのギターがあまりにカッコ良くて一発でトリコになっちゃって。中学校に上がるとギターを弾くようになったんだけど、Fのコードに苦戦してね(笑)」
以来、辻村さんはヘヴィメタルやハードロック、R&Bなどの音楽へ傾倒していった。アーティストを知れば知るほど、楽曲の知識を深めれば深めるほど、手に入れたいCDも増えていく。辻村さんは高校生になると、回転寿司店でバイトを始めた。
「レーンにも寿司は乗せるんですが、カウンターで注文を受けて握りたてを楽しんでもらうことが多いお店でした。高校卒業まで働いてたので、軍艦の持ち場から出汁、炙り、握りとステップを登り詰めていったんです。魚のことが分かるようになったり、自分の握った寿司がどんどん手に取ってもらえたり、楽しかった記憶ばかり」
バイト代のほとんどはCDにつぎ込んだ。地元の兵庫から大阪の大手レコードショップに出向き、視聴機のCDを片っ端から聴いたり、スタッフのおすすめコメントを読み込んだり。「一回レコードショップに行ったら5時間は居座ってました」といたずらっぽく笑う。

足が止まることのなかったカラオケ店のバイト!?

辻村さんは「B'z」のライブ鑑賞をきっかけに、照明の仕事に興味を持った。アーティストに文字通りスポットライトを当てる職業があると知り、大阪の音楽系専門学校に進学。そこで「HaKU」のギタリストとも知り合い、バンドを結成した。
「だけど、照明を一生の仕事にするのかと自問自答するうちに、自分には無理だという結論にたどり着きました。プロフェッショナルはどんな音楽にも合うように光をコーディネートしなきゃいけないけど、僕は好きじゃないジャンルだったらどうしたら良いか分からなくなりそうで」
専門学校には通い続けたが、辻村さんは音楽で生きていくことを決めた。バンドにはベースやドラムも加わり、練習やライブの回数も増えていったという。こうした活動にはもちろん費用がかかるため、辻村さんはカラオケ店でバイトを始めた。
「時給は高かったけど、その分メチャクチャ忙しい店舗で。鳴りやまない注文のコール。止まることを許されない足。電話で注文を受けてはドリンクを部屋に運び、お客さんが帰ったらコードを八の字に巻いてキッチンに駆けて行く…みたいな日々でした」
専門学校を卒業後、辻村さんはバンド活動を本格化。時給が高いバイトに目星を付け、コンテナの荷物の積み替えや工場作業といったハードな仕事も経験した。時には職場のコンビニで、「買った電池のパワーがないから取り替えてほしい」と理不尽なクレームを受けたことも。
「パワーって何?状態だったけど、別の問い合わせ先を案内することで事なきを得ました(笑)。月並みだけど、いろんな人と接することで世の中は広いという考え方ができるようになったかな。当時はエネルギーがあり余っていたから、バイトが終わってからバンドの練習に行くのもそれほどハードだと思いませんでした。お金がない…というか極貧だったけど、笑っていれば何とかなると楽しみながら毎日を過ごしていた感じです」

バイト先での人間模様を、歌詞のヒントに!

辻村さんのメジャーデビューは2013年。最後のバイト先となったのが、大阪中心部の健康ランドだった。シフトの都合が付けやすく、職場に音楽活動を応援する姿勢が根付いていることから、バンドマンが数多く働いていたという。
「自分の持ち場は、風呂から上がったお客さんにビールやおでんを売る係。ちなみに、北欧式のロウリュというサウナでタオルをバタバタあおいで熱波を送っていたのが前のバンドのギター(笑)。上の階では別のバンドマンが食事を作ってましたね」
カップルのやり取りやプロ野球の阪神戦で熱くなる常連さん、そんな人と人とのコミュニケーションやぶつかり合いを目の当たりにすることで、歌詞のヒントにつながることもあったとか。休憩時間にはバイト中の人間模様を箇条書きにして、メモをよく取っていたと振り返る。
「バイトで頭ごなしに怒られたって経験はあまりないんです。最初はできなかったことも、コレを覚えたいって意志を持って働いていると上司や先輩が必ず助けてくれました。強い思いを抱いていたら、支えてくれる人が現れるんだってことを学んだ気がします。逆に、僕も人に優しくしなくちゃなって」
辻村さんの温かな人間性が伝わってくるセリフだ。最後は、読者へのメッセージで締めくくってもらった。
「例えば正社員として一つの仕事に就くと他のことに時間を使う余裕があまりなくなってしまいます。でも、若いころは、バイトによって多くの未体験と出合えるはず。幅広い経験を積むことで、心が裕福になると思います。あと、バイトの失敗談は後々になってお酒のツマミになる!なので、絶対にオススメです(笑)」

★辻村 有記さんの思い出バイト★

回転寿司店
最終的には寿司を握るポジションに。サーモンはテッパンのネタなので、作れば作るほど手に取ってもらえました。
カラオケ店
忙しい店舗だったので、部屋からの電話が鳴り止まなくて。4つの受話器を駆使して、コールに対応してました(笑)。
健康ランド
自分の担当はお客さんにビールとかおでんを売る係。メチャメチャ売ってるほうだったと自信があります!

<プロフィール>
辻村 有記

1988年、兵庫県出身。9年間(2007年〜2016年)の活動を経て解散した「HaKU」のフロントマン。解散後は“Fox.i.e”の名で海外に向けて楽曲活動を展開。国内活動としては、2017年7月1st配信限定シングル「Ame Dance」を皮切りに、作詞、作曲、トラック、ヴォーカル、アレンジなど、すべてをプロデュースする“辻村有記”ソロ名義で活動をスタート。バンド解散から1年の歳月を経て「辻村有記 SHOWCASE-U-」でライブ活動を再開。 
公式サイト

<インフォメーション>

●最新リリース情報
「POP」
『モンストアニメ』エンディング・テーマソングにもなった「Light」のスペシャルver「Light feat.村松崇継」他、デジタルシングルとしてリリースされた「Ame Dance」、「HANDSOME FILM FESTIVAL 2017」の主題歌「Actions Over Words」を含む全6曲を収録。

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