江別全体をつなげるコミュニティを地域のみなさんと一緒につくっていきたい【江別 蔦屋書店／小石川さん】

「忙しい毎日ですが機会があれば、時間をかけてお芝居をしたい」と言う江別 蔦屋書店 店長の小石川慶祐さん。帯広出身の小石川さんは学生時代は野球部で励んでいましたが、将来の進路は「なにか普通じゃない楽しいことをしたい」と漠然と考えていたそうです。高校生のころにテレビ番組で活躍する福山雅治さんをたまたま見ていて、演技や歌などいろんなことをやって楽しそうだなと思い、演劇を学べる専門学校に進学し札幌で暮らし始めます。卒業後は劇団に所属しながらも客演で招かれ、コメディからシリアスなものまで演じ主役を務める舞台俳優として活躍されます。その傍ら、琴似のTSUTAYAでアルバイトをしていたそうです。「演劇はその場で演じて、観てもらうリアル感がすごい面白くて新鮮でした」と演技の力は蔦屋書店のイベントでのMCなど仕事にも役立っているかもと笑います。

「演劇を続けるにしてもちゃんと就職しないと」と考えるようになったころ、ちょうど江別の蔦屋書店に採用された小石川さん。札幌に住んでいたころは一度も来たことがなく印象が薄かった江別。「ラーメンが好きなのでラーメン屋さんの食べ歩きをしました」。江別市内を散策すると住宅街にも公園が多く自然が感じられ、ゆったりと過ごせそうな場所だと思ったそうです。オープン当初はコミュニティ担当としてイベント運営の仕事がメインでした。「いろんな人と出会えて、たくさん会話ができたのが楽しかったですね」。新しい好きが見つかるきっかけになるイベントを地域のみなさんに開催していただき、イベントを通じてその人自身のコミュニティをつくってもらい、江別 蔦屋書店をみんなの居場所にするということを大切にしていました。書店の枠を超え、多くのお店と開催した夏祭りなどの屋外イベントが実現できたことも良い経験になりました。

コロナ禍では多くの商業施設が休業する中、本は生活必需品ということで時間を短縮しながら営業を続けましたが、一切イベントができなくなりました。小石川さんは外出が難しいお客さまとつながり続けるためにも、お家での生活が少しでも豊かになる楽しみをお届けできればとインスタライブにチャレンジします。オンラインの活用は新しいイベントの形としてその後も取り組むきっかけとなりました。

昨年の5周年目のテーマは「ヒトとつながる書店」としました。スタッフとご近所の方々が顔見知りになり声を掛けてもらえることが少しずつ増えてきました。多くの人の支えがあって、今があると感じています。常に新しい取り組みをしてきたので、5年前と変わったこともたくさんあります。これからも新しいことをしていきますが、本を通じて異なる文化や過去の人々ともつながれるように、江別 蔦屋書店も地域をつなぐ場所であり続けたいと話してくれました。

文・取材：三ツ井瑞江／写真：岩崎晃和