目線を上げて子どもたちが暮らす未来のスパンでまちづくりを考えたい【株式会社丸正久保総業／久保さん】

土木事業や運送業を柱に、市内の給食配送も担う丸正久保総業の成り立ちは、取締役専務久保祐紀さんのおじいさまが、兄弟たちを養うためにリヤカーで仕事を始め、三輪トラックで野菜や石炭を運びながら江別小型運送株式会社を築き上げスタートしました。「江別にまだなかった大型ダンプを買ったら、周りに全然小型じゃないって言われたから社名を変えた」というおじいさま。幼少のころから現場に連れて行ってもらい、ショベルカーやダンプカーが身近な環境で育ち「まちをつくるという言葉も、道路ができて建物が建ってスタートするっていう感性はじいさんのお陰かな」とおじいさまのことが大好きでした。おもちゃも働く車で遊んでいて、自然と将来は実家の会社で働くと思っていました。給食も会社のトラックが運んでくれていると思いながら食べていました。「江別の小中学校に通った人は、もれなくうちの会社と関係しています。一番の仕事は子どもたちの口に給食を届けることです」。給食を届けることを通じ地元に貢献できていると従業員も感じています。道路を造り、除雪をして道を通れるようにしたり、仕事で地域貢献をしている自負があります。

小中学校ではバスケに熱中しましたが、高校では学祭の実行委員会にはまり大学でも実行委員をやりました。「業者との打ち合わせとか大好きで、ずっとJC（日本青年会議所）のようなことをしていました」。就職活動の時に今の自分のままではダメだと考え、あえて厳しい営業職に就きます。転勤も受け入れ千葉や兵庫で暮らしたこともありました。怒られてもめげない率直な態度は気に入られました。丸正久保総業には28歳で入社し、最初は作業員として野幌駅北口の仕事をします。地下を掘りボイラー室を作ってロードヒーティングを敷きレンガを並べました。「除雪を担当していますが力が入ります」と自分が造ったという思い入れが強く自慢でもあります。現場仕事も一通り経験し現在は経営の立場ですが、全部の仕事のスーパーサブみたいになっていると言います。「面接では経験よりも、どれくらい腹をくくっているかを見るんです」という言葉に久保さんが覚悟を持って何事にも取り組んでこられた方なのだと感じました。

江別JCで理事長をしていた時はコロナ禍で、できることを探すのが難しかったのですが選挙の時に公開討論会を行いました。JCと言えば、会って話しを聞いてもらえる、会うと発見のボリュームが違うのが大きかったと振り返ります。11年続けた江別JCも今年で卒業となり、今後のフィールドを探していた中でえべつ観光協会の理事を引き受けました。「会社としては観光は一切やっていないんですよ。自分にできることがあればと勉強させてもらっています」と全振りで取り組み地域にインパクトを与えることができるのは民間なので本気でできる企業でいたいという言葉が熱く響きました。

文・取材：三ツ井 瑞江／写真：岩崎晃和