念じれば来る！社会福祉活動家が実現する住み良い街づくり【株式会社みのりの丘／武市さん】

大麻東町ニュープラザ商店街に拠点を構えるみのりの丘 代表取締役の武市寿人さんは「社会福祉活動家」と自称し、介護事業を通じた地域づくりに情熱を注いでいます。福祉系の大学を卒業後、病院の相談員としてキャリアをスタートさせ、介護保険制度が始まったタイミングで介護の世界に飛び込み、江別の社会福祉法人すばるでの勤務が縁となりました。入居施設の運営より、住み慣れた自宅でいつまでも自分らしく過ごせるお手伝いがしたいと思い、事業を引き継ぐ形で独立した武市さん。「この商店街や周辺に住んでいる方々が住みやすいな、移住したいなって思えるような街にしたい。その一役を担ったり、人と人との架け橋になっていくことができればいいな」と語ります。

江別に来た当時、特に課題と感じたのが医療過疎地問題です。自宅で最期を迎えたいという希望をかなえる人があまりにも少ないと感じ、調べてみると在宅医療の受け皿不足が見えてきました。ところが「念じてたら、来るんですよ」と、現在、江別訪問診療所の院長が訪問診療で独立開業を考えていたころに知り合いタッグを組むこととなり、福祉と医療の結びつきを築くことができました。念力すごい！ところで、他にも念じていることはありますか？

武市さんは高齢者だけでなく、子ども、学生、いろんな世代の方がかかわれる接点を意図的に作る必要があると考えています。保育施設を作れたら、高齢者と小さなお子さんの交流の場もできると描きます。心理学も学んできたのでと、マズローの欲求階層説を踏まえた観点から、退職など社会的役割から解放された後の所属は住んでる地域コミュニティとなると教えてくれました。商店街ならではの風情を活用した居場所創出の方法はないかと長年思い続けていたところ、5月にオープンした喫茶店『駅馬車』が気軽に立ち寄れる憩いの場を体現してくれていると喜んでいました。行きたいと思える社会資源が大事と介護事業所という枠を超えてフリーマーケットや夏まつりなどのイベントも開催し、地域住民が気軽に立ち寄れる場所、多世代が自然に交流できる空間づくりを実践しています。

「医療、介護、福祉の知識を持った専門家の一人として、知識や技術は地域に還元するべき」と職員にも地域活動への参加を推進し、積極的に地域とかかわり知識を還元しています。網の目のように居場所や交流の機会を作るために「自力で網目を全部作るのは無理なのでいろんな方々とコラボしたり、きめ細やかになってくれば良いなと思っているんです」。理想を語るだけでなく、実現できる基盤を作ることが大切だとNPO法人と株式会社の両輪体制で事業展開しているのも特徴的です。正解がない。教科書がない。だからこそ地域のオーダーメイドな試行錯誤が面白くもある。今後の展開とご活躍が楽しみです！

文・取材：三ツ井 瑞江／写真：岩崎晃和