明治から令和へ江別と共に歩み、進化し続ける王子エフテックス【王子エフテックス株式会社 江別工場／吉田さん　山崎さん】

新しい付加価値をプラスした特殊紙を作っているのが、王子エフテックス江別工場です。お話を聞いたのは吉田欣志さんと山崎さおりさん。二人が属する事務部の総務人事グループは、採用、各種手続きなど、従業員をあらゆる面でサポートしています。山崎さんは「働きやすい環境を作る仕事」と、吉田さんは「彼らが本来すべき業務に集中できるようにサポートするのが我々の役割」と話します。山崎さんは「手続き完了後、ありがとうと言われるとうれしい」と、吉田さんは「彼らが満足して仕事ができるというのが喜び。ただし、不公平がないようにルール通りでやることも大事。」と、責任感と愛情を持って対応する姿勢を感じました。

関西から転勤してきたという吉田さんは17年前は江別で働いていました。「野幌駅は発展し住宅地が広がっている。江別駅周辺が寂しくなったのは残念ですが蔦屋書店ができた。江別にはまだまだポテンシャルがあると思います」。生まれも育ちも江別の山崎さんは、父親も王子製紙で働いており、子どものころは社宅に住んでいました。「夏祭りがすごくて、やぐらを立てて盆踊りをして、紙袋いっぱいに入ったお菓子をもらった」と懐かしい思い出と共に、あのころの活気を地域に取り戻したいと話してくれました。

今まではコピー用紙、説明書・チラシなどの用紙を大量生産していましたが、用途に応じた特殊紙を生産する多品種小ロット体制へ移行。人員を絞ったこともあり、残っているメンバー全員が重要な役割を担っています。縮小のニュースを聞いた地元の方から心配のお電話をいただいたこともあり「今後も工場をやっていくという気持ちで従業員は団結しています。頑張っていくところを見せていかなきゃいけない」と山崎さん。「昔は工場見学もしていましたが、今は受け入れていない。また地域の方も参加できるような何かができたらいいな」と話します。

特殊紙と聞くと、遠い存在に感じますがあちこちで王子エフテックスの紙は活躍しています。ハンバーガーを包む紙、コーヒーフィルター、マークシートや駐車券。農業用のペーパーポットなど身近な場面で使われているのです。特殊紙事業とフィルム事業を展開するエフテックスの「F」はファイバーとフィルムからきています。2012年に社名変更しましたが、いまだに王子製紙の印象が強く、「どこの会社と言われることもあるので、王子エフテックスの名前を浸透させたい」と山崎さん。しかしそれは、かつての製紙工場の歴史が根付いている証しでもあります。

自分たちが作るものに誇りを持って働く人が集まり、暮らすことが江別を元気にする一助になると考え、安全への配慮、充実した福利厚生を整えています。今後は高校生の採用にも力を入れていくそうです。王子エフテックスの力がこれからも江別の希望の光となっていきそうですね。

文・取材：三ツ井 瑞江