「野外空間演劇ドドド2025 supported by アルキタ」開催レポート

「野外空間演劇ドドド2025 supported by アルキタ」が9月6日（土）、札幌市南区の紅櫻アウトドアガーデン（紅櫻公園内）で開催されました。札幌の演劇人による2022年開始の野外イベントで、「あいだ -between-」をコンセプトに、都市と自然の間の空間で演劇やアート、音楽を楽しむ「夢と現実の間にあるいい時間」を提供する企画です。
18時半に開幕したメイン演劇「アオクトオク」は、遠い未来を舞台に宇宙開拓計画を終えた4人の物語。地球帰還を目指すも月に不時着してしまった戸惑う彼らの前に現れたのは、かつて人間に棄てられた巨大な人型の生き物。もう帰れないと嘆く4人に、「ことば」を「歌」に乗せて地球へ送る手段を託す――。

「ドドド」最大の魅力は野外ロケーションを生かした演出。今回も焚き火やシャボン玉、さらには3メートル近い巨大人形が登場するなど、観客を驚かせる展開が続きます。キーとなる「音楽」では、役者たちが楽器を手に声を張り上げ、歌で会場を熱狂に包み込んでいきました。

演劇終了後は出演者と観客が焚き火を囲んで「デイドリーム・ビリーバー」を合唱し、思い思いの「いい時間」を過ごしました。

4回目を迎えた今年は、脚本を従来のシリーズから刷新。新たな息吹として子どもが舞台に立ち、会場には微笑ましい親子の姿が数多く見られるなど、年を追うごとに温かく豊かな雰囲気へと変化を遂げています。この変化について、総合プロデューサーの桐原直幸さん（二度寝で死にたいズ／劇団fireworks）が思いを語ります。

「同世代の仲間も多くが結婚・子育て世代になり、僕も昨年第一子が誕生しました。子どもたちにも心に残る思い出を贈りたいという願いから、参加者全員で心を一つにして歌ったり、純真無垢な子どもたちに演者として舞台に立ってもらったりと、子どもたちの持つ透明で力強い純粋さを会場の皆さんに感じていただけるよう、演出に工夫を注ぎ込みました」
新たに「ジョブキタ北八劇場」がオープンするなど盛り上がりを見せる札幌演劇シーン。桐原さんはさらに演劇に馴染みのない人にも劇場へ足を運んでもらうため、今後もイベントに取り組みたいと意気込みを語ります。
「演劇は劇場に足を踏み入れてもらわなければ、その魅力や感動を理解してもらえません。そこで演劇の枠を越えたジャンルを盛り込んで、これまで舞台に触れる機会の少なかった方々にも足を運んで頂ける企画を練っています。今回もシルクスクリーンを手掛ける仲間や、喫茶店を営む友人に協力してもらい、一緒にイベントを作り上げました。『ドドド』から新しい文化を花咲かせ、演劇シーン全体を盛り上げたいと思います！」

アルキタでは札幌の演劇文化のさらなる発展と活性化を願い、イベントフライヤーの印刷やチケットプレゼント企画を通じて当イベントを応援しています。札幌の息づく新たな演劇文化と未来の動向にぜひ、温かなご注目と期待をお寄せください。