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2015年5月11日 公開

ジャズピアニスト 大江 千里さん

アルバイトで立ったステージで
人の心をつかむことの難しさを学びました。

ジャズピアニスト 大江 千里さん
撮影協力/blend COFFEE living(札幌市中央区南1条西6丁目第2三谷ビル2F)
「格好悪いふられ方」「ありがとう」などのヒット曲で知られ、松田聖子や光GENJIなどにも多くの楽曲を提供。2008年からはジャズを学ぶためにニューヨーク在住、現在はジャズピアニストとしても活躍する大江千里さんが北海道を訪れた。

高校時代に早くも
始めたピアノ講師

この日もトレードマークの黒縁メガネで颯爽と現れた大江千里さん。久しぶりの帰国とあって「日本はやっぱり食べ物がいいよね。カレーにわかめうどん、ウナギ。札幌ではウニとイクラを食べましたよ」と、全く垣根を感じさせない笑顔で話し始めた。
3歳でクラシックピアノを習い始めた大江さんは、早くから作曲の楽しさに目覚め、「スイカ」「アジサイ」など先生から出される身近なテーマに沿ってメロディーを作るのが楽しくて仕方なかったのだそう。また、ピアノの技術はメキメキと上達して、高校生の時には既に自分でピアノ教室を開いていたというから驚きだ。「家が大阪芸術大学の近くで、バンド活動をする学生たちがたむろするレコード店によく行ってました。そこで知り合ってはバンドに入れてもらったりしてたので楽器代やステージ代、衣装代…何かとお金がかかったんです。高校生ながらも自分で〝生徒募集〟のポスターを作って、あちこちに張って歩いて。生徒さんが出来て『月謝です』って、お金を渡してもらえるのは本当にありがたかったですね」。それ以前にも新聞や郵便配達のアルバイトを経験しており自ら仕事をして、お金をもらうというサイクルを実際に経験したことで「親もこうやって働きながら自分を育ててくれたんだなぁと、改めて感謝の気持ちを持ちました」と振り返る。

自分の仕事に対する
リアクションに学ぶこと

その後、大学在学中にレコード会社のオーディションに合格し、プロとしての活動を始めた大江さん。初のライブは札幌・STVホールでのラジオ番組だった。とはいえ、音楽活動のため常に金欠状態だったそうで工事現場や塾の講師、飲食店での皿洗いなどさまざまなアルバイトを経験している。「僕はサービス精神旺盛なタチだから(笑)。喫茶店のアルバイトでは、プリンアラモードを注文されて、ここぞとばかりに生クリームをぐわーっと乗せて持って行ったらお客さんに『自分が頼んだのはこんなんじゃない!』って言われてしまって(笑)。物事には加減ってものが必要なんだと学びましたね」。ダンプカーが頻繁に行き交う道路沿いのジーパン店で、開店祝いに店の前で歌ってほしいと頼まれたこともあり「ダンプの音に負けないようにもう必死! 即興でジーパンの歌を作って声を張り上げて歌いました。そのうち、一台のダンプが駐車場に入ってきました。ついにお客さんが来たんです。ギャラにもらったのはブーツカットのジーパン。うれしくてずっと大事にしてました。自分の仕事に対してリアクションがあり、お客さんが来てくれたわけ。それで得た報酬だもの。この上ない喜びでした」
手当たり次第と言っても良いほどにさまざまなアルバイトをこなした大江さんだが、中でも特に忘れられない思い出があると言う。
「大阪のファミレスで1日に5ステージ歌ったことがあるんです。選曲は自由で自分のオリジナル曲も歌ったりするんだけど、誰も聞いちゃくれない(笑)。ビールのジョッキをガチャガチャ鳴らす音にかき消されて、曲が終わると申し訳程度の拍手だけ。それがある時、五輪真弓さんの『煙草のけむり』を歌ったら、イントロで店中の音がぱっと止んでシーンと静まり返ってお客さんが聴き入ったんだよね。僕のオリジナル曲はまだまだで、人の気持ちをつかむのは難しいことなんだって思い知りましたね」

無鉄砲でも傷付いても
あきらめずに志を貫いて

そしてもう一つ、大江さんにとって忘れられないアルバイトが、飲食店での仕事だそう。「大学を卒業して少々売れ始めたころで、当時の僕は少々調子に乗っていて。ライブや練習があると、当たり前みたいに仕事を抜けてたんです。それなのにマネージャーは思いやりのある人で『お前には夢があるんだから』って温かく見守ってくれるんですよ。職場に戻った時にはちゃんと仕事を用意しておいてくれて、ライブにも店のみんなと一緒に来てくれて…。うれしかったですね。人に対する感謝の気持ちを、このアルバイトを通じて学んだと思ってます」
2008年、大江さんはニューヨークの大学でジャズを学ぶために渡米する。周囲には「一生懸命にバイトをしていたころの自分と同じ年代の学生」がたくさんいて、部屋をシェアしたりバンドを組んだりといった交流もあるそうだ。彼らの姿を見て、また自らの若い日を思い出しながら「若いころって、情熱があって無鉄砲に体が動くもの。それで傷付くこともあるけれど、それがあるからこそ自分が行くべき道が分かるんだと思う。あきらめずに志を持ってやり続けることが大切だと思います」と大江さんは言う。その瞳はまるで少年のようにイキイキと輝いていた。

★大江 千里さんの思い出バイト★

喫茶店
ビックリするほどお給料は安かったけれど、大好きな店でママの人柄も良く、まかないのオムライスがおいしかったので、ま、いいか(笑)。
左官の弟子
壁が塗りあがった時の達成感と、職人さんが「今日も一日ありがとう」とお給料を手渡ししてくれる時のうれしさが忘れられません!
ファミレスでのピアノ演奏
高校〜浪人時代まで、1日5回のステージ。音楽でギャラをもらううれしさで飛びついたけれど、音楽で人の心をつかむことの難しさも学びました。

<プロフィール>
大江 千里

1960年生まれ。1983年のデビュー以来、「格好悪いふられ方」をはじめ数々のヒットを飛ばすほか、俳優、司会、ラジオパーソナリティー、エッセイ執筆などに幅広く活躍。2008年よりNY在住。4月17日「9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学」(KADOKAWA刊)を出版。

<インフォメーション>

●CD情報
「Collective Scribble」
初回生産限定商品 VRCL-4036〜4038 三方背BOX入り 4,500円
通常盤 VRCL-4039 3,240円

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