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バイトがあって今がある シンガーソングライター 南壽あさ子さん

2016年10月31日 公開

私にとってバイトは
人生の先輩の背中を見て、自分を成長させられる場所でした。

シンガーソングライター 南壽(なす) あさ子さん
撮影協力/WORLD BOOK CAFE(札幌市中央区南1条西1丁目2大沢ビル5F)
透き通るような歌声と愛らしい楽曲に、人気がじわじわと広がっているシンガーソングライターの南壽あさ子さん。アルバイト先も彼女のイメージにぴったりのキュートな職場が多かったようだ。

東京に住んでいるのに、バイト先は千葉!?

ドット柄のワンピースにベレー帽の出で立ちで登場した南壽あさ子さん。歌声や楽曲もさることながら、彼女がまとっている雰囲気も凛として澄み切っているようだ。ナチュラルでピュアな存在感に、男女を問わず引き付けられるのもうなずける。
南壽さんは千葉県出身。音楽好きの両親のもとに生まれ、幼いころはユーミンや竹内まりや、イーグルスなどの曲が子守唄代わりだった。両親から聞いた話では、物心つく前から歌を口ずさんでいたというから驚きだ。
「5歳でピアノを習い始めてからは、弾き唄いする時間がとっても幸せでした。将来は歌い手として生きて行きたいとぼんやり思い描いていましたが、実は初めての曲作りはスロースタート。東京の大学に進学し、軽音サークルでバンドを組んでからのことです」
弾むような笑顔を見せながら、音楽のルーツを振り返った南壽さん。大学入学後は授業にサークル活動に忙しかったが、その隙間を縫うようにバイトにも勤しんでいたそうだ。
「初めてのバイトは塾の講師。実は私自身が中学時代に通っていて、先生から“大学生になったら講師をやってよ”とよく言われていたんです。ただ、大学進学に合わせて家族と一緒に東京に引っ越してしまい…。1コマの授業を行うためだけに千葉へ通い、すぐにとんぼ返りする忙しい日々を過ごすことになっちゃいました(笑)」
“長距離通勤”になるにもかかわらず、いわば過去の口約束を「お世話になった恩返し」ときちんと守るところが、南壽さんの純粋さと人柄の良さを表しているようだ。

道を切り開いたのは、バイトを〝辞める〟決断。

大学卒業後、南壽さんはソロ活動を続けながら、スイスカフェでバイトを励んだ。スイスの山小屋をイメージしたログハウスで本格派のチーズフォンデュやクロワッサンを提供する、かなり珍しいスタイルのお店だったという。
「オーナーがスイス人だったので装飾や食器はもちろん、ホールスタッフのエプロンもスイス製。エーデルワイス柄の可愛らしいデザインで、付けるのが楽しみでした(笑)。スタッフは少人数でしたが、だからこそ小さな家族みたいで温かい雰囲気だったなぁ」
職場はメリハリがあり、忙しい時間帯はキビキビと働き、お客様がいない時はスタッフ同士のおしゃべりが止まらなかったとか。そんな和やかな会話の中で歌手になりたいという自分の夢を語り、バイト先の仲間たちも彼女を応援してくれた。ところがある日、南壽さんはある決心をして職場を離れたそうだ。一体どうして?
「バイトがイヤとかでは全然なくて。当時、歌手になりたいという目標はハッキリしていたのに、どう行動してどんなプロセスを踏めば良いのか分からずにもがき苦しんでいました。ライブを開いても未来が動き出す気配もなく、同じ生活の繰り返し。だから、環境を変えることで小さな光が見えてくるんじゃないかって思ったんです」
南壽さんは自分をアピールしたり、楽曲を積極的に宣伝するのはあまり得意ではないタイプ。けれど、スイスカフェのバイトを辞めてからは路上ライブを行ってみたり、楽曲をインターネット上で公開してみたり今まで取り組んでこなかったことにもトライした。すると、1カ月もしないうちにライブハウスのスタッフがレーベルを紹介してくれて、あれよあれよという間にマネジメント契約にまでつながったのだ。
「今思うとバイトを“辞める”という決断が、道を切り開いてくれたのかもしれませんね」

音楽活動を全力で応援してくれたバイト先。

南壽さんはインディーズデビュー後も、しばらくは音楽活動とバイトを両立。今度の職場は牧歌的なスイスカフェとは正反対のスタイリッシュなカフェだったが、人数が少なくアットホームなところはどこか似ていたと笑う。
「お店の仲間は私の音楽活動を知っていたので、ヒマな時は“歌詞を考えていて良いよ”と言ってくれたり、ライブ会場にお花を届けてくれたり、全力で応援して下さる姿勢が伝わってきて本当にうれしかったですね。私の曲を店内BGMとしてもかけてくれて、お客様から“あなた、これを歌ってるんだって? 雰囲気あるからいけるわヨ”なんて言葉をいただいたことも(笑)。バイト中に浮かんだ曲をライブで披露する時は当時のことを思い出しますね」
メジャーデビューした今でも、バイト仲間がライブに駆け付けてくれることもあるそう。南壽さんが愛されるキャラクターであり、謙虚で真っすぐだからこそ、支えてくれる人が一人、また一人と増えたのだろう。もっとエピソードを聞きたいところだが、ここで最後の質問。南壽さんにとってバイトの良いところって?
「バイトは学校や家族という枠組みから飛び出して、かかわる仲間が一気に増えるもの。年齢も育ってきた環境も全く違う人と接することで、仕事に対するプライドや生き方だって学べると思うんです。大げさかもしれないけれど、私にとっては人生の先輩の背中を見て、自分を成長させられる場所でした」

★南壽 あさ子さんの思い出バイト★

スイスカフェ
シェフが偶然同じ高校の出身で、面接の時にチラリと履歴書を見て「同じ高校だから合格!」と採用になりました(笑)。
塾の講師
個別指導で5教科を教えていました。思い出深いというより驚いたのは生徒さんに英語でアタックされたこと(笑)。
カフェ
私の曲を店内BGMとしてかけてくれたり、CDを置いてくれたり、応援してくれる気持ちがうれしかったです!

<プロフィール>
南壽 あさ子

千葉県出身のシンガーソングライター。幼少のころからピアノを始め、大学時代には軽音部に所属。2010年より東京都内を中心にライブ活動を行い、2012年にシングル「フランネル」でインディーズデビュー、2013年10月に「わたしのノスタルジア」でメジャーデビュー。透明感あふれる歌声とシンプルなピアノのメロディーが支持され、「積水ハウス」のTVCMや「東京ガス」のラジオCM歌唱、ゲームへの楽曲提供など幅広いジャンルで活躍。

<インフォメーション>

●最新リリース情報
「flora」
■【アーティストフォトデザイン盤(通常盤)】 YCCW-30059/1,000円(税抜)
表題曲は大人気ゲーム「アトリエ」シリーズの最新作「フィリスのアトリエ 〜不思議な旅の錬金術士〜」のオープニングテーマ曲として大抜擢。【豪華盤】、【ゲームデザイン盤(初回生産限定盤)】、【ゲームデザイン盤(通常盤)】、【アーティストフォトデザイン盤(初回生産限定盤)】 も発売中。

バイトがあって今がある

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バイト先の人たちがMVに出演してくれたほど、良い出会いばかりだった。