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2019年2月4日 公開

映画監督/広瀬 奈々子さん

ちょっと意識を変えていたら、
バイトから得られたものは大きかったのかもしれない。

映画監督/広瀬 奈々子さん
1月18日に公開となったばかりの映画「夜明け」。そのメガホンを取ったのが広瀬奈々子さんだ。
是枝裕和監督や西川美和監督の助手を務め、制作者集団「分福」からデビューした期待の新人に、かつてのアルバイト経験をインタビュー。

裏方が向いていると気付かされたバイト先

映画監督といえば、俳優に檄を飛ばしたり、時には怒鳴ったりすることもいとわないイメージではないだろうか。けれど、取材場所に現れた広瀬奈々子さんからは、ナチュラルで穏やかな印象を受ける。「北海道は母の出身地なので、何度も足を運んだことがあります。寒さにはいまだに慣れないですが(笑)」と静かに切り出した。
広瀬さんが映画に興味を抱いたのは小学生のころ。お母さんが、ストレス発散のために夜な夜なアクション映画を観ていたのだとか。いつしか彼女も一緒に楽しむようになり、ハリウッドの大作を皮切りに映画の世界にのめり込んでいった。
「アクションスターのブルース・ウィリスが大好きで。複雑なストーリーや奥深い人間模様ではなく、初めは観終わった後の爽快感とか、動き自体の面白さに惹かれました。俳優の人生やキャリアが垣間見える華やかさも楽しみの一つでした。それから、徐々に自分の好きなジャンルを探すようになったんです」
広瀬さんは、中学生のころには漠然と映画に携わりたいと思うようになった。とはいえ、映画研究部といった部活動に入ることはなく、中学時代は剣道、高校ではハンドボールとスポーツに打ち込んだという。
「初めてのバイト先は浪人時代のレンタルビデオ店。当時は近所のお店に行っては映画を借り、貪るように観ていましたから。ただ、働いてみると、お客さんとどう接して良いか分からず、ひたすら棚にソフトを戻していて…(苦笑)。自分には裏方が向いていると痛感し、3カ月ほどで辞めてしまいました」

バイト代を貯めて、現実逃避の旅へ!?

広瀬さんは1年間の浪人の末、武蔵野美術大学映像学科に入学。映画に限らず幅広くものづくりを学ぼうと選んだ進路だったそうだ。ところが、美大独特の「作品第一主義」で「作家的」な雰囲気になじめず、最初のうちは友人が少なかったと素直に打ち明けた。
「お金を貯めて一人で海外を旅しようと思い、カレー屋さんのキッチンでバイトを始めました。私は何も考えずに料理の手を動かすのがリフレッシュになるタイプなんです。接客もしなくて良いですし、軽い気持ちで応募したんです。が、食材のストックを切らしたり、物を落としてしまったり、叱られてばかりでした」
実は、映画「夜明け」では飲食店で店長にこっぴどく怒鳴られる若い男性が描かれている。物語のキーポイントの一つでもあるシーンだ。広瀬さんの苦い経験が映像に生きているのか尋ねたところ、「彼は私なんです」と微笑んだ。ここで当時のことに話を戻す。
「学生時代はイタリアンレストランのキッチンでも働きました。実際、バックパッカーとして東南アジアや中国の奥地に行ったんですが、途中で現実逃避だって気付いたんですよね。人と向き合わず、自分とも向き合わず、なんでこんな場所にいるんだろうって。例えば、当時バイト先で『スイマセン!』と言葉に出しても、心の中では申し訳ないと思っていなくて。今振り返ると店長や社員の立場になってモノゴトを考えていなかったことに反省するばかりです」
一方、大学の作品制作では自らの新たな一面を発見した。映像を作ろうにもメンバーの個性が強く、仲間割れも多かったとか。広瀬さんは自身を仲裁役ができるようなタイプではないと自己分析していたが、こと作品の出来を左右する場面では説得も苦にならなかったという。
「実写映像は自分一人ではどうにもならなく、思い通りにいかないからこそ面白いという手応えを得た瞬間です」

再現VTRの超リアルな小物作りに熱中

広瀬さんは学生時代にADのバイトも経験。大学の講師がドキュメンタリー制作会社の代表で、時間が空いた時に再現VTRの作成を手伝っていた。
「手先は器用なので、缶ビールやお茶のラベルをいかにもありそうなデザインに仕上げるのが好きでした(笑)。でも、作品のクオリティよりも小道具作りに意識が向いちゃって…。ココでも自分はダメだったな〜と今では反省しています」
大学卒業後、広瀬さんは映画監督になりたいと思うものの、どのような道筋をたどれば良いか分からずにもがいていた。和食店のキッチンでバイトをしながら、「自分は何を目指しているんだろう」と思い悩んだ。その半年後、友人から「是枝監督がアシスタントを募集している」と聞き、制作者集団「分福」の門戸をダメ元で叩いた。それが映画監督の道へとつながったのだ。
「是枝監督や西川監督のもとで、演出に特化した助手というポジションを経験しました。助監督とは異なる独自の役割で、『お前が監督だったらどうする?』と常に意見を求められるんです。下っ端が現場を止めてアイデアを発信するのは勇気が要りますが、その分だけ作品と関わるモチベーションが段違いに高まります。当時の私にとってバイトとは、お金を稼ぐための手段だと割り切っていました。だけど、助手の時のようにほんの少し意識を変えていたら、得られたものは大きかったんじゃないか…今はそう思いますね」

広瀬奈々子さんの思い出バイト

イタリアンのキッチン
自分が料理を作る時とは違い、要領の良さも求められました。例えるなら、団体スポーツのチームワークという感じです。
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大学生のころに2年くらい続けたバイト。再現VTR中の缶ビールやお茶のラベル以外にも不動産屋さんのチラシなど小道具をリアルに作っていました(笑)。

プロフィール

広瀬 奈々子
1987年生まれ。神奈川県出身。武蔵野美術大学映像学科卒業。2011年から制作者集団「分福」に所属。是枝裕和監督のもとで監督助手を務め、「ゴーイング マイ ホーム」(12年/関西テレビ・フジテレビ)、『そして父になる』(13年)、『海街diary』(15年)、『海よりもまだ深く』(16年)、西川美和監督『永い言い訳』(16年)に参加。『夜明け』が映画監督デビュー作となる。

インフォメーション

●公開映画情報
「夜明け」

出演:柳楽優弥/YOUNG DAIS 鈴木常吉 堀内敬子/小林薫
監督・脚本:広瀬奈々子
「この作品は人の悩みをベースにしています。明確な答えを見つけ出せないとしても、一生懸命探したり、立ち止まったりすることを肯定したいと考えました。答えを見つけられないことも、一つの答え。そんなメッセージを込めているので、今悩んでいる方にぜひ観ていただきたいです」
(c)2019「夜明け」製作委員会

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