未来の世代のために、農業の可能性を広げる宮川農園の新たな挑戦【宮川農園 農園長／宮川 豊さん】

江別市の篠津で130年続く宮川農園。屯田兵として先祖が開拓してきたという歴史があります。ファミリーで取材陣を迎えてくれたのは、5代目の宮川豊（みやかわゆたか）さん、「こども農業チャンネル」で活躍中の農tuberたっくん＆ひろさんの仲良し兄弟、そし販売・広報担当の5代目妻の育美（いくみ）さん。

豊さんは、小さいころから食べることが大好き。「毎日おいしい野菜を食べられることが当たり前だと思っていた」のだそうですが、それがとてもぜいたくなことだと知り、自分も農家を継ぎ、おいしい野菜を作り、多くの人に届けたいと思っていました。実家を継ぐ前に社会経験が必要と、大学卒業後は東京の工業系企業に就職し営業マンとして働きました。東京で東日本大震災に被災したとほぼ同時期に長男を授かっていることがわかり、予定より早く就農することを決意。現在、4代目であるご両親とともに日々、研究・生産をしています。

ミネラルが豊富な粘土質の土壌に農園で作ったお米のぬかと微生物を使い、より良い土を作りあげます。昔、飲料水として使用していた新鮮な地下水をくみ上げて野菜に与えます。

「自分たちの作りたいものではなく、土地に合ったものを作る」。昼夜の寒暖差が大きい篠津の環境と相性が良い品種を研究し、お米、メロン、とうきび、カボチャ、ほうれん草、トマト、ズッキーニなどを生産しています。特に自慢の農産物が、とうきびとお米です。この2つの商品を「豊とうきび」と「育美米」として、ネットでの販売も行っています。「作るだけの農家」から「顔が見える農家」へと少しずつ新たな挑戦をしている活動の中心にいるのが、育美さんです。元は看護師のお仕事をされていて、農業には全く興味がありませんでした。宮川農園の野菜作りに対する思いや豊さんやご両親の丁寧で誠実な仕事ぶりを見ているうちに、おいしい野菜たちを、もっと広くお客様にお届けしたいと農園の広報、販売、加工などをするようになりました。

お二人はどこで知り合ったんですか？と聞くと、共通の知人を通じて出会い、その時の第一印象は「育美さんの目がパッチリしてて…」と、きっと豊さんの一目惚れだったんですね。そんな豊さんに対し「靴下に穴があいていたことしか覚えていない」という育美さん。そこですかさずたっくんが「昨日も靴下を買ったんだよ」と教えてくれます。靴下にすぐ穴が開くのは、一生懸命に農作業をしているからだねと家族で会話が盛り上がる中、一人マイペースなひろさん。YouTubeで見るにぎやかな光景が目の前で繰り広げられ、とっても楽しい取材でした。

農場での販売はしていませんが、お客様との交流のイベントとして収穫祭をやってみたい！焼き芋祭がいい！農業ゲームを作ってみたい！とアイデアがどんどん出てきます。野菜の種だけでなく、未来への希望の種もたくさん植えて、家族で育てているのだなと感じました。

文・取材：三ツ井瑞江／写真：岩崎晃和