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バイトがあって今がある ReNさん

2022年11月28日 公開

「嫌だ」まで掘り下げないと、本当に好きかどうか、分からない。

ギター1本からバンドサウンドを紡ぐ、多重演奏が持ち味のシンガーソングライターReN(レン)さん。大けがからレーサーとしての道を閉ざされ、20歳のころ、音楽を手にどん底からはい上がった彼に、これまでの歩みやアルバイト経験をインタビューした。

命懸けで戦うレーサーを夢見て

ReNさんと音楽との出会いは小学校2年生のころ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の作中で、主人公・マーティが歌ったチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」に心を揺り動かされたと振り返る。
「自分もチャック・ベリーの曲をギターで弾いてみたいという衝動に駆られ、4つだけコードを覚えました。ただ、当時の僕にとって音楽のプレイ以上に輝きを放っていたのが車。道を走る車両を指差して、メーカーを言い当てるくらい大好きでした」
その後の運命を分けたのは、小学4年生のころに観戦したF1レースだった。一目見ただけでも技術の粋を集めたことが分かるマシン。それを人間が極限状態で操るヒリヒリした感覚。レースで目にしたすべての光景がReNさんにとって衝撃的だった。
「F1というと華やかなイメージですが、ドライバーは死と隣り合わせの時間を孤独に耐え抜いています。子どもだった自分がそこまで深く考えていたかどうかは思い出せませんが、命懸けで戦う人の表情に心底惚れ、レーサーを夢見るようになったことは確かです」
以来、レーシングカードライバーとしての活動にすべてを注ぎ込んだ。高校1年生の終盤にはイギリスへとレース留学するために学校を中退。平日はレースの準備や体のトレーニング、土日は日本津々浦々へとレーシングカートを積んでサーキットで勝負するというハードな日々が始まった。
「もちろん、音楽自体は好きなので、インターネットで好きな楽曲を探したり、友達に教えてもらったり、当時は聴くためのコレクションを増やしていったことを覚えています。レース前には音楽を聴いて気持ちを高ぶらせていました。

失意のどん底から救ってくれたのが音楽

ReNさんはイギリスでのレース留学から帰国した後、レーサーの育成プログラムに参加しながらアルバイトを始めた。若い世代の車離れが目立っていることから、レース会場で子どもたちに向けたゴーカート体験のインストラクターを務めたという。
「もともと子どもと接するのを楽しめるタイプですし、自分の好きなものを人にお勧めするのも得意。ゴーカートの楽しいポイントに気付いてもらえるような教え方を心掛けていました。で、子どもたちに『また来たい』と言ってもらえるのも最高の気分」
ゴーカートのインストラクターとして稼いだお金は、F1のシミュレーターやスポーツジムのトレーニング代など、主にレースの準備に費やしていたという。
「あと、僕がよく通っていたハンバーガーショップでバンズを焼くアルバイトも経験したことがあります。外でいろんな人とかかわるのが好きなので、お店を手伝わせてもらいながら人生勉強をしたかったんですよね」
レースを中心とした生活を過ごしながら、ReNさんは再びイギリスへ。プロのレーサーを目指して活動を続け、全英カート選手権にフル参戦するなどキャリアを積み重ねていったところ、大きな事故によるけがでプロへの夢を断念せざるを得なくなってしまった。
「当時の僕は20歳。人前で話すのが大好きな自分が、誰とも会う気がせず家に閉じこもりきり。勝手に涙がこぼれ落ちる日もザラでした。黙っていると気分がどんどん落ち込んでしまう…そんなどん底の状況から救ってくれたのが音楽だったんです」
ReNさんは、かつて覚えた4つのコードでギターをかき鳴らした。無意識に歌詞のような言葉が口をついて出た。半ば導かれるように「生きる」という楽曲が出来上がった。
「音楽と向き合うことで、これまでの道が閉ざされたわけではないと思うことができました。レーサーとして戦うことはできないけれど、人の強さを表現できるのはレースだけではない…と。それから取りつかれたようにギターを弾き、楽曲を作り続けました」

バイトは成長と学びの場

ReNさんはギターを手に取り、楽曲制作を始めて以来、必死でライブを開いた。時にはオーディエンスが一人もいなかった日もあったが、年間100本ライブを行う「百戦蓮磨」を完遂。本気度に導かれるように支えてくれる人が増え、それが今につながっていると振り返る。
「自分の好きなことをやっていても、良いことばかりではないですし、やりたくないことの壁にぶつかる時が必ずきます。だけど、ここが勝負のポイント。自分がやりたかったことでも『嫌だ』と感じるまで掘り下げた時、それでもまだトライしたいと思えるものが本当に好きなこと。その感覚を良い加減で教えてくれるのがバイトだと思います。業務内容がつらくて辞めちゃったらそれまでだし、ハードでも頑張れたら自分に合っているというのが見えてくるんじゃないでしょうか。まあ、バンズを焼いていただけの僕が偉そうには言えないけれど(笑)」
ReNさんは好きなことや興味のある世界に飛び込んだ際、どんなに失敗してもつかんだチャンスを離さない性分。けれど、自分の進むべき道が見つかっていなかったり、不安で一歩を踏み出せていなかったりする若い世代の気持ちもよく分かるとほほ笑む。
「今時の若者は、迷惑をかけたらどうしようと、つい考えすぎちゃってバイトに踏み出せない傾向があると思います。でも、バイトは社会とのつながりや人とのかかわり方を学べる場。どんなミスをしたって、必ず経験しておいて良かったという時がくるから、気軽に飛び込んでみてほしいですよね。バイトをすることで、きっと、自分の人間性が一回り大きくなるはずですから」

ReNさんの思い出バイト

ゴーカートインストラクター
自分も思い切り楽しむことで、子どもたちにゴーカートを楽しんでもらうことを意識しました。
ハンバーガーショップ
兄のように慕っている人のハンバーガーショップで、ただただバンズを焼きまくっていました(笑)。

プロフィール

ReN (レン)
1994年生まれ。10代で渡英してプロのレーサーを目指すも、けがにより断念。UKミュージックに感銘を受け、20歳からシンガーソングライターの道を志す。2015年には関東圏を中心に1年間で102本のライブを行う『百戦蓮磨』を完遂。2016年6月に自身初の1stアルバム『Lights』をリリース、2017年には初の全国ワンマンツアーを開催。ストレートに突き刺さる歌詞とジャンルレスなサウンドで多くのファンを獲得。2022年10月7日にデジタルEP『Early Project』をリリースし、自身初のバンド編成ツアーも開催。
オフィシャルサイト:http://ren-net.com/

インフォメーション

●最新リリース情報
New Digital EP
「Early Project」

先行リリースされた「Traveling Train」「Decision」「千輪花火」に加え、新たな3曲を追加した全6曲。「自分と向き合いながらもがいている多くの人に元気を届けられるEP。遊び心のある楽曲やパーソナルな音楽など、バラエティ豊かな構成です」

バイトがあって今がある

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