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バイトがあって今がある ミュージシャン 藤巻 亮太さん

2016年6月20日 公開

アルバイトで買ったギターが
音楽の扉を開いてくれました。

ミュージシャン 藤巻 亮太さん
撮影協力/Dip&Merry(札幌市中央区南3条西2丁目1-5 Hotel リーネルすすきの2F)
レミオロメンのフロントマンとしてデビューし、現在はソロアーティストとしても活躍する藤巻亮太さん。若き日々に経験したアルバイトの多くは、後の音楽活動にも深く関わるものだった。

地元ならではの初バイトで
汗を流した中3の夏

「春になると桃の花が一面に咲いて、ピンクの絨毯を敷き詰めたような美しさなんです。自然あふれる山あいを自転車で駆けまわる。そんな少年時代を過ごしていました」
歌声と同じ柔らかな口調で、藤巻さんは懐かしそうに生まれ育ったふるさと山梨の様子を語ってくれた。初めてアルバイトを経験したのは中学3年の夏休み。
「基本的に中学でのバイトは禁止なんですけど、唯一、選果場でのバイトだけは許されていたんです。朝5時に作業場所に行って、農家の人が収穫して持ってきた桃やぶどうを仕分け、出荷する用にトラックに積み込む…そんなバイトをしていました。それが終わるとサッカー部の朝練もあったので、よくやっていたなと思います」
体力に自信がある中学生とはいえ、アルバイトと朝練、両方をこなすのは大変。しかし、藤巻少年には、そうまでしても手に入れたいモノがあった。
「ギブソンのレスポールというギターがどうしても欲しかったんです。当時好きだったエアロスミスや(奥田)民生さん、レニー・クラヴィッツも使ってたかな。ただ、お小遣いで買えるシロモノではなかったから、なんとかバイト代を稼いで買おう!と、その一心で働いてました」
苦労して手に入れたレスポールは、それまで使っていた通信販売のギターとは大違い。弾きやすくて音も良い。ギターを弾くのが一層楽しくなり、音楽にのめり込んでいくきっかけになったそう。
高校に入学するとブラスバンド部に入部し、レミオロメンのメンバーである前田さん、神宮司さんと出会った。三人はバンドを組んで、文化祭などで演奏。充実した高校生活のように聞こえるが、「すべてが中途半端な感じだった」と藤巻さんは振り返る。
「高1で入ったブラスバンド部も一年ぐらいで辞めてますし、高2の時は免許をとったばかりのスクーターを乗り回して遊んでいました。高3で受験した大学も結局本当に行きたい学校じゃなくて。10代の後半はいろんなコンプレックスが自分の中で渦を巻いていました」
しかし、そのコンプレックスは後の作曲活動の原動力となっていく。
「19歳から作曲を始めて、自分の中にあるモヤモヤしたものを曲にしていったんです。何も無いところから新しい音楽が生まれることは自分にとって感動でした」

ギターを手に入れるために
アルバイトを掛け持ち

大学に進学した藤巻さんが卒業まで続けたのがホテルでのアルバイト。シフトの自由度が高く、給料は日払い。「ゆるい感じで働けた」のが4年間継続出来た理由だ。仕事は主に宴会の配膳だが、時折頼まれる料理の配達を密かな楽しみとしていた。
「配達にはバイトが2人一組で行くことになっているんです。だから、なんとかしてカワイイ女の子と一緒に行きたい…そのことばかり考えていました(笑)。でも、誰が配達に行くかを決めるのは上の人なんで、必ず行けるわけじゃない。うまく自分とその子が指名されるように、いろいろと画策していましたね(笑)」
ホテルのアルバイトと並行し、短期で携わったのが楽器店の仕事。始めた理由はまたもギターだった。
「ホテルのバイトは日払いだったから、給料をもらったらそのまま飲みに行っちゃうんです。だから全然お金が貯まらない(笑)。そのころ、フェンダーのムスタングというギターにあこがれていて、手に入れるにはバイトを増やすしかなかったんです」
アルバイトを掛け持ちして手に入れたムスタングはレスポール同様、新しい音楽の扉を開く鍵となった。
「レスポールは太く力強い音が特徴のギター。一方、ムスタングはシャープでキレのあるサウンドが魅力。アルペジオもきれいに響くので、それを生かした曲を多く作るようになりました。後のレミオロメンの楽曲にも影響を与えたギターですね」
※一弦一弦別々に弾いていくギターの奏法

何者でもない不安から
別のエネルギーが生まれることもある

アルバイト代で手に入れた二本のギターは、いずれも自分の音楽人生に大きな影響を与えていると話す藤巻さん。そしてアルバイトは「自分にとって労働の原風景」だと続ける。
「僕にとって働くというのは汗をかくことなんです。選果場でのバイトみたいに汗だくになるくらいじゃなきゃ仕事じゃないと思っています。でも音楽をやってると何時間スタジオにいても全く汗をかかない(苦笑)。だから、汗をかくくらいの真剣さを音楽に注いでいるか?と自分を省みるためにも、バイトをしていた日々を思い出すんです」
そんな藤巻さんに読者へメッセージを求めると「(バイトは)モラトリアム期間の楽しみ方としてアリ」という言葉が返ってきた。
「アルバイトをしている時期って、社会人でも何者でもない自分ですよね。誰にも縛られないけど、何にも属してない。だからこそ不安はあるんだけど、それをなんとかしようと別のエネルギーを生むこともあります。フラフラしているようだけど、それはそれで悪くない。そこにしかない独特の時間を楽しんでほしいと思います」

★藤巻 亮太さんの思い出バイト★

選果場
実はバイト代だけではギターの代金に届かなくて、親に助けてもらいました(笑)。
コンビニ
常に有線がかかっていたので、新しい音楽に出合えるのが楽しかったです。
ホテルスタッフ
「今から(バイト)入れる?」なんて日常茶飯事。「ゆるさ」が性に合ってましたね。

<プロフィール>
藤巻 亮太

2000年12月にレミオロメンを結成し、2003年3月、1st Mini Album『フェスタ』でデビュー。『3月9日』『粉雪』などのヒット曲を次々にリリースする。2012年2月にレミオロメンの活動休止を発表すると、ソロアーティストとしての活動をスタート。同年10月にはソロ1st Album『オオカミ青年』をリリース。今年3月には2ndアルバム『日日是好日(ひびこれこうにち)』をリリース。5月11日に最新曲『go my way』を配信リリースしたばかり。

<インフォメーション>

●最新リリース情報
2nd Album「日日是好日」
VICL-65039 3,000円(税抜)
「大切な人」(NIVEAブランド 2015年TVCMソング)、「8分前の僕ら」(ネスレ「KITKATChocolatory」TVCMソング)を含む、全12曲を収録!

Digital New Song「go my way」
(日本テレビ系アニメ「エンドライド」エンディングテーマ)

バイトがあって今がある

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バイト先の人たちがMVに出演してくれたほど、良い出会いばかりだった。