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バイトがあって今がある 脚本家・演出家・俳優 宅間 孝行さん

2014年8月11日 公開

経験は大事な財産。
身にならないことなんて一つもない。

脚本家・演出家・俳優 宅間 孝行さん

演劇の道を志し
30歳まで続けたアルバイト

脚本家、演出家としてだけでなく、俳優としても幅広く活躍中の宅間孝行さん。彼が主宰し〝日本で一番泣ける劇団〟とまで言われた「東京セレソンデラックス」を解散した後は「タクマフェスティバルジャパン(略して「タクフェス」)を立ち上げ、「笑って、泣いて、歌って踊る」、よりエンタメ性の高い芝居を全国で展開している。この夏は、青春ど真ん中の淡いラブストーリー「夕 ―ゆう―」の全国ツアーを開催中だ。その東京公演の合間を縫って来札した宅間さんに、これまでのアルバイトについて話を聞くことが出来た。
「この世界にいたら誰だってアルバイトの経験はありますよ。僕も30歳くらいまでバイトしてましたから。劇団をやってる者にとって、当たり前ですよ」と話す宅間さん。茶目っ気たっぷりの笑顔にいきなりノックアウト寸前だ。学生時代に始まり、27歳で劇団を立ち上げた後もしばらくの間はアルバイトと縁の切れない生活を送っていた、と宅間さんは言う。
「実家がステーキハウスを営んでいたので、中学生のころから学校の休みには皿洗いなどを手伝ってたんですよ。外での最初のバイトは…。いつだっただろう。高校時代の夏休み、軽井沢のペンションでの住み込みのバイトかな。友達が先に行っていて僕が後から合流する形で、掃除や炊事などの仕事をしましたね。屋根裏部屋に住んで。楽しかったですけれど、当然ながら親からお金をもらうのと他人にお金をもらうのでは、全く違うということを知りましたね」

造花問屋での約10年
配達トラックでセリフ練習

大学進学後はサッカーのサークルに所属し、サークルメンバーが代々アルバイトをしている造花問屋での仕事をスタート。小さな会社で、宅間さんいわく「ゆる〜い雰囲気(笑)」ながらも「パーティーやイベントの時に胸につけるリボンバラ(徽章)の製造・配達が多かったので、景気の波をモロに受ける仕事なんですよ。僕が大学に入ったころがバブルの終わりかけでしょう。どんどん仕事が減っていくんですよね。やることがないと、つらくてつらくて…。それでも大学を離れてからも全部で10年くらい続けたかな。温和な人柄の社長でアットホームというのか、いわゆる昔ながらの雰囲気。稽古や芝居のスケジュールに合わせて融通をきかせてもらえてありがたかったですね」。
公演のためには1カ月以上の休みを取らなければならないこともあり、その分、宅間さんが大切にしていたのは「普段からの信頼関係」。働ける時にしっかりと働いて仲間のフォローなどもし、信頼関係を築いておくことで、急な休みや長期休みを快く取らせてもらえるように、心掛けていたそうだ。ちなみに配達時の相棒は、懐かしのダットサントラック(昭和後期に全盛だった日産の小型トラック)。一人で出かける時は、思いっきり大きな声で歌を歌ったり、『ウイロウ売り』という落語の滑舌トレーニングをしたり、セリフの練習をしたり。メンバーがいる時には助手席や運転席でセリフを覚えるのを手伝ってもらったりもした。「将来への不安は常にありましたし、本当に目指したいことが別にあるのにアルバイト生活を続けるつらさはありましたけれど…。そんな風に過ごすことで、あきらめずに乗り越えられ、それが今につながってきたんだと思います」

ハメを外せるのも今だけ!
若いうちの経験を大切に

アルバイトの身分ながらも社内の仕事全般、さまざまな仕事を担当したため「社会の縮図」を感じることもしばしば。「この値段で仕入れて、この値段で売るのかとか、仕事ってこうやってとってくるものなのかとか。正月のお得意さん回りに同行させてもらって、世の中にはいろんな人がいることを教えてもらったりね。集金時にコワモテのお兄さんが出てきて妙に緊張したことも(笑)。社会ってこうやって回ってるんだなって感じて、そう考えると芝居の世界だって美しいだけのものではないぞ、大人ってなかなか大変なんだなって思ったり…」そう話しながらも宅間さんの表情に悲壮感は皆無で、常に爽やかな軽やかさ漂う笑顔だ。約10年通った会社がある下町の風景は、今も宅間さんの心に焼き付いており、舞台の中に当時の懐かしい空気感を取り込むこともあるという。「若いころはうんと無茶をしたほうがいいと思います。ハメをはずせるのは学生のうち、バイトのうちだけでしょ。そのためにもバイトして稼いで、いろんな体験をしてほしいな。経験は大きな財産。若いころはつい『早く成功したい』とか『早く安定して楽になりたい』という気持ちが先走ってしまいがちだけれど、人生トータルでのピークをどこに持っていくかって考えたら決して焦る必要はないでしょう。回り道に見えても、無駄な体験なんて何一つないんだから」。観客を泣かせることにかけても笑わせることにかけても天下一品の宅間さん。それも長いアルバイト生活の中で触れ合った人情の機微や、さまざまな体験と無縁であるはずはないだろう

★宅間 孝行さんの思い出バイト TOP3★

造花の卸問屋
学生時代から劇団が軌道に乗るまで、約10年間お世話になりました。配達トラック内でのセリフ練習も今では懐かしい思い出!
新作家電のモニター
マニュアルの試作品を見ながら、問題なく組み立て出来るかのモニター。ハラハラしながら見守るエンジニアの熱視線に感動。
パン屋
新宿の繁華街にあるパン屋さん。早朝から夕方までの営業で、時間帯によってさまざまなお客さんが来るのが面白かった。

<プロフィール>
宅間 孝行

1970年生まれ、東京都出身。1997年、劇団「東京セレソン」を旗揚げ。2001年「東京セレソンデラックス」と改名したのを機に、主宰・演出・主演として活動。2012年12月に劇団を解散し、2013年「TAKUMA FESTIVAL JAPAN」を立ち上げる。

<インフォメーション>

2014年公演
TAKUMA FESTIVAL JAPAN 「夕 -ゆう-」

[開催日] 9/3(水)4(木)
[開演] 19:00 
[会場] 札幌市民ホール (札幌市中央区北1条西1丁目)
[出演] 宅間孝行、内山理名、上原多香子、藤吉久美子、山崎静代(南海キャンディーズ)、阿部力 ほか
[チケット] 全席指定 ¥7,800(税込)ローソンチケット/Lコード 18609
[お問い合わせ] 011-214-5261(UHB事業開発部/平日9:30〜17:30)

●オフィシャルサイト
http://takufes.jp/

バイトがあって今がある

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