大ヒット作「水曜どうでしょう」のチーフディレクターとして独特の世界を作り上げ、鬼才ぶりを発揮した藤村忠寿さん。2009年のHTB制作ドラマ「ミエルヒ」では、石狩川でヤツメウナギを追う漁師の父と、その息子の心情を細やかに描いて国内外のドラマ賞を受賞。今年は裏方から一転、舞台役者にも挑戦し、11月から始まる「OOPARTS」(鈴井貴之主宰)プロジェクト第2弾公演「SHIP IN A BOTTLE」に出演するなど、多彩な活躍を見せている。
「アルバイト経験はそれほどないのだけれど…」と言いながらも、気さくにインタビューに応じてくれた。「アルバイトとは言えないけど、実家が愛知で喫茶店をしていたので、その手伝いをしたのが『働く』経験の最初かな。浪人時代だったからね、それくらいしないと家にも居場所がないでしょ(笑)。コーヒーを淹れるのと洗い物が僕の担当で、何も考えず、頭の中をひたすら真っ白にして集中出来るのが好きだったね」と、軽快な語り口だ。北海道の大学入学後はラグビー部に所属。そこで部の先輩から紹介されたのが、テレビ局でのアルバイトだった。
「部の先輩が2人、報道記者になっていて助手を探してたの。三脚を持ってカメラマンの後ろをついて走ったり、インタビューを受ける相手にマイクを差し出したりしてました。事故や事件の現場なんて、最初はとにかく慣れてないし、どうしたらいいのか分からないことだらけ。でも、そのうちにだんだんと“何かあったら最初に現場に駆けつけられる”仕事の魅力に取りつかれていったわけ。もともとヤジウマ根性はデカい性格だったからね」