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バイトがあって今がある クリープハイプ 尾崎世界観さん

2016年10月3日 公開

バイトで募った悔しさや怒りが、
僕にとって音楽の原動力だった。

クリープハイプ(Vo./G.)尾崎 世界観さん
撮影協力/Clark Gallery + SHIFT(札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階)
ここ最近、ドラマやCM、映画などのタイアップが数多く舞い込み、人気も知名度も高まっているバンド「クリープハイプ」。フロントマンの尾崎世界観さんが、独自の“アルバイト観”を披露した。

バイト先の店主の奥さんと再会を果たすも…。

疾走感あふれるメロディーと唯一無二のハイトーンボイスが数多くのファンを引き付ける「クリープハイプ」。ボーカルとギターを担う尾崎世界観さんは、胸が締め付けられるような、時に感情をむき出しに迫ってくるような、心に刺さる歌詞も手掛けている。
彼が紡ぐ言葉のセンスが独特さを帯びているように、尾崎さん本人も一見するとつかみ所のない雰囲気をまとっているよう。が、「バイトをかなり長くやってきたから、今でもつい求人情報を見てしまいそうになることがあるんですよ」と微笑んでくれたことで、場が一気に和んだ。
尾崎さんが初めてバイトを経験したのは高校時代。当時からバンドを組んで音楽活動はしていたものの、機材をそろえるというよりは自分で自由に使えるお金を稼ごうと、近所の商店街にある蕎麦屋さんで働き始めたという。
「謙遜でもなく、音楽の他には何も出来なくて。作業が遅いことを見越され、閉店する2時間も前から片付けや掃除を始めるよう指示されてました(笑)。汚いのも苦手だから、ゴムマットを洗うのなんて本当にイヤでしたね」
1年半ほど働いた良い意味でも悪い意味でも印象深い初バイト。つい最近、店主の奥さんに偶然会い、「バンド、人気なんだって? スゴいわね〜」と声を掛けられたが、「めちゃくちゃ叱られてたから、正直複雑な気分でしたね」と本音を隠さず苦笑したのも尾崎さんらしい。

スパイのように、チラシを投函!?

高校卒業後、尾崎さんはバンドを続けながら一度は製本会社に就職するも、約1年で退職。以来、さまざまなバイトで日々を食いつないだ。生活していけるギリギリのお金と音楽活動の費用さえ稼げれば良いという考えから、シフトは最小限で済むように逆算していたというから驚きだ。
「求人広告の見方も人とは違っていたかも知れません。あまりに高給だと仕事量が多いんじゃないかって勘ぐったり、スタッフの写真を見て“もし入ったら敵になりそうなヤツがいる”なんて邪推したり。余計な想像を膨らませながら、時給が低くて写真ナシの求人にばかり応募してました(笑)」
そんな尾崎さんがお気に入りだったバイトはチラシのポスティング。あの街、この街に一人で出掛け、散歩気分まで楽しめるところが性に合っていたのだと話す。
「僕は手持ちのチラシをすべて配り切らなければ気が済まなくて、デカい団地なんかを見つけるともう興奮して。投函禁止って貼り紙があっても、管理人室の死角をスパイのようにしゃがみながら進んで、音がならないようにポストにチラシを滑り込ませてました(笑)。中には優しい管理人さんもいて、投函している時に“ソコ、怖い人の家だから入れないほうが良いよ”って忠告してくれました」
尾崎さんは他にもコールセンターや警備の夜勤、物流工場にコンビニなど、数え切れないくらいのバイトを経験した。いつかメジャーの舞台に立てるという夢を信じていたというよりは、音楽以外に何かを成し遂げられるイメージが湧かず、モヤモヤした気持ちを抱えながら。

夜勤からすぐにツアーへ、ツアー帰りに即バイトへ!

尾崎さんが「クリープハイプ」を結成したのは2001年。以来、メンバーの加入や脱退を繰り返し、現在の4人組としてバンドの地盤が固まったのは2009年。すでにインディーズとしてデビューしていたが、バイトなしに暮らせるほどではなかった。
「当時は夜勤が終わってからすぐツアーに出掛けたり、半日以上かけてツアーから帰ってきたその足でバイトに入ったりすることも多かったです。僕、何の仕事も出来ないから、他の人みたいにバイトが楽しいって思えたことがなくて…だからこそシフト以外の時間が大切に感じられて、体はキツかったけど精神的にはリラックスしていましたね」
尾崎さんは2012年のメジャーデビュー直後までバイトを続けていた。今でも連絡を取るような仲間とも出会えたが、総じて苦い思い出ばかりだったのだとか。日雇いのバイトでは名前ではなく「お前」呼ばわりだった。警備の夜勤では先輩への接し方があまりに悪くケンカになった。工場の若いスタッフが「あいつバンドやってるんだって」とヒソヒソ話す様子が悪口のように聞こえた。けれど、悔しい気持ちはバネになった。
「僕が勝手に腹を立てていただけなのかも知れないけど、職場で怒鳴られたり、すれ違った時にあいさつしても無視されたり、僕にだけアメをくれないオバちゃんがいたり(笑)。バイトはやればやるほど怒りとか苛立ちが募り、だけど胸の内には“何とかして見返してやる”という気持ちが湧き上がって曲や歌詞と向き合う原動力になっていたんですよね。僕にとってバイトと音楽は対の関係。バイトをやってなかったら、クリープハイプは続いていなかったかも。だから、今でも悔しさを音楽づくりの“武器”にしたくて、またバイトをしてみたいなって思うことがあるんですよね」

★尾崎 世界観さんの思い出バイト★

蕎麦屋さん
麺を茹でる釜に残った蕎麦やうどんの切れ端と天かすで作ってもらうまかないが、すごく印象的でした(笑)。
物流工場
荷物の補充のタイミングが少しでも遅れると、ベテランのオバちゃんから「オラーッ!」って怒号が飛んできました…。
コールセンター
職場は華やかな六本木。当時は自分に縁がない街でしたが、今はラジオ番組の収録で毎週通っていて感慨深いですね。

<プロフィール>
クリープハイプ

尾崎世界観(Vo./G.)、長谷川カオナシ(B.)、小川幸慈(G.)、小泉拓(D.)からなる4人組バンド。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を開始。2012年4月に1stアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャーデビュー。2014年にはキャリア初の日本武道館公演を開催。この9月に4thアルバム「世界観」をリリース。

<インフォメーション>

●最新リリース情報
「世界観」
■初回限定盤(CD+DVD)UMCK-9860 3,700円(税抜)
■通常盤(CD)UMCK-1551 2,750円(税抜)
大型タイアップシングル「愛の点滅」「リバーシブルー」「破花」をはじめ、ドラマ「そして、誰もいなくなった」の主題歌としておなじみの「鬼」などを含めた全14曲を収録!
●ライブ情報
「熱闘世界観」―11回表 札幌―
11/13(日)ファクトリーホール
開場/17:00 開演/18:00
お問い合わせ/WESS TEL 011-614-9999

バイトがあって今がある

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