モリシー そうそう。だから面接の時に、バンドのライブやレコーディングでシフトに穴を開けてしまうこともあるとあらかじめ伝えるようにしていました。それでもOKをもらえたところはありがたかったですね。 PORIN 私は大学生のころにお洋服屋さんでバイトをしました。でも、車で通っていたので、お給料の半分が駐車場代に消えたのが苦労したかな。 マツザカ それは苦労というかバカだよね(苦笑)。
──(笑)。逆にバイトで学んだことは? ユキエ 高校卒業後に7年くらい歯科助手として働いていました。クリニックの院長は腕が良くて、患者さんとのコミュニケーションも抜群に上手な方だったんです。例えば同じ症例でも一人ひとりの人柄を考慮して言い回しや話し方を変え、オーダーメイドに治療しているという感じがしました。院長の仕事ぶりを見ていて、正しいことを単に伝えるのが正解じゃなく、その人に合った言葉を見付け出すのが正解なんだ、それが愛される秘訣なんだなって人生勉強をさせてもらった気がします。
運命の音楽スタジオでバイト初日に「ナンパ」!
──印象深いバイト先は? atagi 東京に出てきてから2〜3年後に働いたライブハウス。音楽の新しいムーブメントを作るような勢いのあるところだったので、出入りしているバンドが多かったんです。マツザカやモリシーと出会った場所ですし、ユキエちゃんの存在もその界隈で知りました。 マツザカ その後、atagiと僕は、バンドマンが始めた音楽スタジオで働き始めました。上下関係があまりなく、リハーサルの案内やセッティング以外の空いた時間にお客さんや同僚と自由に話せる空気感。僕がatagiを「Awesome City Club」に誘ったのもバイト中です(笑)。
PORIN しかも、ミュージシャンだけでなく、カメラマンや映像作家も出入りしていて、色んなカルチャーが渦巻く場所。だから私も淡いあこがれを抱いていました。大学卒業後、就職せずに音楽の道に進もうとバイト先を探していた時、たまたま友人が紹介してくれた職場がその音楽スタジオ。きっと何かが生まれると思っていたら…。 マツザカ PORINのバイト初日は、ちょうど僕らがメンバーを探していたころ。バンドに女の子を二人入れたいと思って、ユキエちゃんともう一人誘っていた子がいたけれど、ダメになっちゃって。でも、曲作りもしていたし、ライブの日にちもすでに決まっていたんです。それで、PORINに話してみたら、好きな音楽や世界観が似てたから、全力で「ナンパ」しました(笑)。 PORIN マッツンのパッションがスゴかったからまずはサポートメンバーとしての加入をOKしました。バイト初日に、その後の運命をともにするバンドに誘ってもらえるとは思いませんでした。 マツザカ よく遊びに来ていたカメラマンにPVを撮ってもらったり、エンジニアのスキルを持つ店長にレコーディングを手伝ってもらったり、バイト先にはバンドを進める上で必要なものがたくさんあったんです。ココがなかったら僕らは上手くいかなかった。そう思えるほど特別な場所。ちなみに、僕らは今でもそこで練習しています。